研究課題/領域番号 |
16H03306
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
花川 隆 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 脳病態統合イメージングセンター, 部長 (30359830)
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研究分担者 |
林 拓也 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, チームリーダー (50372115)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | plasticity / neuroimaging |
研究実績の概要 |
実績として,ピアノ演奏の基礎となる指の巧緻運動について,速く動かすことを要求される場合に皮質基底核回路が動員され,パーキンソン病ではこの回路の機能が低下により速く動けないことを示した(Hanakawa et al. 2017).また,安静時機能結合MRIにより,健常ピアニストのピアノ演奏技能の一部(MIDI測定結果)が基底核の機能結合として表現され,音楽家ジストニア患者では技能と機能結合の関係性が壊れていることを明らかにした(Kita et al. in press).また,管楽器奏者についても.基底核のアンブシュア課題中の脳活動が,音の安定性に関わることを見出した(in preparation).縦断研究としては,現在MRIとTMSを組み合わせた両手ピアノ演奏に伴う可塑的変化についての研究を推進中である.ラット実験では,音operant学習中の脳活動を運動野,小脳,腹側基底核並びに前頭極に見出した.このうち,腹側基底核活動が行動動機に関わり,この部位の機能阻害により音operant行動が抑制されることを明らかにした(in preparation).さらに,同じ実験系を用いた縦断研究によりラット小脳に構造可塑的変化を発見した.現在,小脳の構造可塑性の組織学的実態について,免疫染色による組織学的検討を行なっている.脳機能・構造イメージング技術開発として,ヒト大脳皮質の神経突起特性,自発的共振活動や皮質間の機能的・構造的連絡性(コネクトーム)についての大規模データ収集・解析法の基盤技術の構築と解析環境の整備を進め解析環境(bash, matlabによるスクリプト化),自動解析処理システムの構築およびデータベースを理研とNCNPに構築し、可塑性に関わる脳コネクトームの同定解析を進めた.神経突起特性の皮質分布技術についてNeuroimage 2018に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
横断研究について複数の論文を出版済み,あるいは印刷中であり,動物実験からも興味深いデータを得ることができた.人を対象とした縦断研究に遅れがあるが,現在鋭意進めているところであり,当初の目的を達成できると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中のMIDI測定,MRIとTMSを組み合わせた両手ピアノ演奏に伴う可塑的変化についての縦断研究の推進に注力するとともに,管楽器奏者で確認できたソマトトピーと脳活動と演奏パフォーマンスの関係について,ピアノ等他の楽器に拡張して検討を進める.加えて,ラット実験で確認できた音operant学習による小脳の構造可塑性の組織学的実態について解明を進める.構築したコネクトーム自動解析処理システムを,音楽家のエキスパートスキル獲得の解明のために応用していく.
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