研究課題/領域番号 |
16H03312
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北村 由美 京都大学, 附属図書館, 准教授 (70335214)
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研究分担者 |
陳 來幸 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (00227357)
片岡 樹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (10513517)
加藤 剛 東洋大学, アジア文化研究所, 客員研究員 (60127066)
芹澤 知広 奈良大学, 社会学部, 教授 (60299162)
横田 祥子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教 (80709535)
篠崎 香織 北九州市立大学, 外国語学部, 准教授 (90573486)
佐久間 香子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (50759321)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 移動 / 経済史 / 流通 / 海域 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アジアの海域におけるネットワークの歴史と連続性を包括的に研究することによって、現代の東アジア・東南アジアへ継承されている様々なネットワークの把握と、歴史を参照することから現代アジアにおける国際関係を相対化することである。本研究では、東アジアと東南アジアの国々を対象に、流通、文化、移動をめぐって、国民国家や個々の研究者のディシプリンの枠組みを超えて検討を行っている。 今年度は研究メンバーと外部研究者による3回の国内研究会の開催に加えて、海外からのゲストを招聘して国際会議を1回開催した(一部、2016年度予算繰越分による)。具体的な成果としては、1)アンダマン海域と南シナ海域の双方における、ツバメの巣やナマコといった高級食材の流通をめぐって、経済史と人類学の双方からの知見が提供され、マクロな視点からの流通ネットワークの理解が進んだ。2)本研究がもともと射程としていた、元英領マラヤを起点とする華人による商業ネットワークに加え、商業ネットワークが東南アジアの都市の成立に果たした役割について検討する機会を得た。3)文化ネットワークに関しては、華人伝統宗教と世界宗教のアジア展開に関する調査が進められた。 来年度は、昨年度、今年度の活動の中でカバーするこができなかった、インドと東インドネシアまで視野に入れた研究会の開催を行う予定である。その上で、元英領マラヤを起点とする領域に加えて、アンダマン海域と南シナ海域をつなぐ海のアジアの検討をすすめていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、初年度にペナンにて国際ワークショップを開催する予定であったが、研究課題を遂行していく過程で、ペナンを起点とするマラッカ海峡と華人経済ネットワークという本研究の当初の焦点に絞らずに、より広い視野で東アジアと東南アジアにおける流通、文化、移動の歴史を検討する必要があるという共通認識が深まった。そこで、予算を繰越した上で、本年度、日本国内でInternational Seminar on Maritime Southeast Asia from An Historical Perspectiveという国際セミナーを開催した。国際セミナーでは、コーネル大学のEric Tagliacozzo教授による、アジアの都市が、どのような人の移動や流通によるネットワークによって形成されてきたかというマクロな視点からの報告と、ペナン・インスティテュートのWong Yee Tuan氏よる、ペナンにおける福建系華人ネットワークの歴史的展開とその影響力に関する詳細な報告がされた。これらの報告と今年度の他の研究活動によって、個々の研究をより大きな文脈でとらえるための共通基盤ができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2018年度は、これまで実施できていない東南アジアでの共同調査を行う予定である。また、ワークショップを開催し、これまでの調査と研究で得られた、海域間の比較や、華人経済ネットワークとそれ以外の経済ネットワーク、宗教や文化の伝播の分析をとした文化ネットワークの歴史と現在など、いくつかの視点をセッションに分けて検討機会を設けたい。
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