研究課題/領域番号 |
16H03313
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
濱口 伸明 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70379460)
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研究分担者 |
高橋 百合子 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (30432553)
村上 善道 神戸大学, 経済経営研究所, 助教 (50709772)
村上 勇介 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (70290921)
桑山 幹夫 神戸大学, 経済経営研究所, リサーチフェロー (80726018)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アカウンタビリティ / 経済統合 / 所得格差 / 中所得の罠 |
研究実績の概要 |
研究計画の第2年度に当たる2018年度は,国際参入の質,経済パフォーマンスを規定する構造要因としての所得格差の重要性,および社会政策が地域政治において有権者の投票行動を誘導する目的で利用されるリスクについて,研究成果が得られた。ラテンアメリカ諸国経済のパネルデータを分析し、グローバルバリューチェーンへの参入、天然資源輸出の拡大はともにそれ自体が所得水準を上昇させるが所得格差を拡大する効果を通じて所得水準を押し下げること、しかし前者は教育水準の向上によって、後者は社会支出の拡大によって経済発展に与えるマイナスの影響を緩和できることが分かった。オープンリージョナリズムの重要性,グローバル化の利益を最大にし不利益を最小にするための貧困層への所得保障と基礎的教育の必要性,地域政治におけるアカウンタビリティを高める制度設計の必要性が明らかになった。ラテンアメリカにおいては1980年代のポピュリズムの経済政策失敗が引き起こした混乱から脱するために1990年代に新自由主義改革が進められたが,2000年代に左派ポピュリズムの台頭が見られた。しかし,左派政権は資源経済の行き詰まりと汚職の表面化によって支持を失い,近年では左派リベラルを否定する保守政権が各国で成立している。このように政治体制が大きく変わる選択をするのは,ラテンアメリカ各国において政党基盤が極めて弱体で多数の政党に分裂した立法府を形成していることとかかわっており,有権者の多くが支持政党を持たず,時々のイシューにより動員を図るポピュリスト的言説の下に糾合しやすいことによる。2018年2月に,メキシコから経済学者,アルゼンチンから政治学者を招聘し,神戸大学においてラテンアメリカにおけるグローバル化と民主主義の現状と課題に関して国際ワークショップを開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年度に当たる2018年度に所得格差に関する研究成果を商業出版するための原稿が完成した。また最終年度に成果を一般に公開するための国際シンポジウムを開催するための研究成果の見通しがたった。
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今後の研究の推進方策 |
分析に用いるデータベースの変数をさらに加えて整備をさらに進め,実証分析を進める。2018年に予定されているメキシコ,ブラジルの大統領選挙結果の分析を行う。2018年度中に国際シンポジウムを開催し,外部の研究者を招聘し,また外務省等の政策担当者との意見交換も交えて,研究成果を広く公開する。成果の一部を書籍にまとめて刊行する。
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