研究課題/領域番号 |
16H03314
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大塚 靖 鹿児島大学, 国際島嶼教育研究センター, 准教授 (00244161)
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研究分担者 |
山本 宗立 鹿児島大学, 国際島嶼教育研究センター, 准教授 (20528989)
西村 知 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (20253388)
川西 基博 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (50551082)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | オセアニア / ミクロネシア連邦 / マーシャル諸島共和国 / デング熱 / 住民参加 / 蚊 |
研究実績の概要 |
平成28年度はミクロネシア連邦ピンゲラップ島、ピス・パネウ島を対象に、蚊分布調査(衛生動物学)、ヤブカ属幼虫の発生源となっている小容器の調査(食事調査、民族植物学)、地域の社会・経済に関する調査(社会経済学)、植生と蚊発生源の関連性に関する調査(生態学)を実施した。1. 蚊発生源に関する調査:蚊の対策の実施(生息容器の除去)には住民の参加が必須で、持続性が伴わなければならない。その基礎データを集めるため、ピンゲラップ島、ピス・パネウ島で幼虫が生息する容器の性状、容器の位置調査(GPS計測)を行った。同時に蚊の幼虫を採集し、デング熱を媒介する可能性が高い種類の分布を把握した。蚊の幼虫が生息する容器は飲食物の空缶やプラスチック容器が家庭の経済と関連すること、また家族によってゴミ処理が異なっており、特に幼虫の生息する容器が多数存在する特定の家族があり、これらの家庭が媒介蚊対策には重要であることが明らかになった。2. 食生活および地域の食物生産に関する調査:ピンゲラップ島、ピス・パネウ島で現在の島内および村内での食料生産や食料自給率を調べるため、調査協力世帯に対して1ヶ月間の食事内容を調査し、近代化した食生活と蚊の発生源の強く関連していることが明らかにした。3. 地域の社会および経済に関する調査:ピス・パネウ島において質問表を用いて家計調査を行い、島内での経済システムの基礎データを得た。4. 地域の植生・生態に関する調査:ピンゲラップ島において植生の分布と構造を明らかにするための調査を行った。主要な樹木、作物、その他の植物を要素とした植生図を作成するためのデータを得た。 また、マーシャル諸島共和国では蚊の発生源の予備調査をマジェロにおいて行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度はミクロネシア連邦ではピンゲラップ島とピス・パネウ島において、当初の申請書通りの計画をおおむね遂行できた。マーシャル諸島共和国においても、Environmental Protection Authorityと今後の研究協力ができることとなり、平成28年度はマジュロにおいて予備調査を行い、平成29年度より本格的なデング熱媒介蚊の調査を離島において行う計画を立案できた。
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今後の研究の推進方策 |
ミクロネシア連邦のピンゲラップ島およびピス・パネウ島において,引き続き基礎データを集めるとともに、平成28年度の調査結果の検討を理系と文系の立場から総合的におこない、住民参加による蚊対策の実施方法(実施グループ・除去方法・容器類の処理・蚊のサンプリングなど)を決定する。この方法に従って実際に居住地域で住民による蚊発生源の除去活動を実施する。同時に,蚊発生源の除去活動の問題点を調査し、活動を定着させるための方策を住民とともに考える。 マーシャル諸島共和国においては,蚊発生源の調査を行い、蚊の幼虫が生息する容器の性状、容器の位置調査(GPS計測)を行い、蚊の幼虫を採集しデング熱の発生が高い種類の分布の把握を行う。
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