研究課題/領域番号 |
16H03317
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
篠崎 香織 北九州市立大学, 外国語学部, 准教授 (90573486)
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研究分担者 |
水野 敦子 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (10647358)
西 芳実 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (30431779)
細田 尚美 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教 (70452290)
山本 博之 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (80334308)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マレーシア / インドネシア / フィリピン / ミャンマー / 東南アジア / 移民 / 難民 / 民族 |
研究実績の概要 |
本研究は、建国過程で多民族性を積極的に取り入れて制度設計を行った多民族国家マレーシアにおいて、インドネシア、フィリピン、ミャンマーなど近隣諸国からの越境者が急増している近年来の事例について、新たな越境者がマレーシアにおける民族間関係を補強・修復・再編する側面を検討する。 平成28年度は初年度にあたるため、越境者の実態調査を主に実施した。国内研究会を3回実施し、研究代表者・分担者の間で問題設定や調査分析結果を共有しながら、現地調査などを通じて、文献収集、現地専門家との意見交換、移住者・移住者組織に対する聞き取り調査等を行った。 マレーシア・サバ州で、合同の現地調査を1回実施した。州の行政・経済の中心であるコタキナバルと、内陸部の交通の要所であるケニンガウで、フィリピン系およびインドネシア系の越境者を中心に調査を実施した。個別の現地調査においては、水野がペナン州でミャンマー系の越境者について、ミャンマー系上座仏教寺院を中心に調査を実施し、寺院を通じたミャンマー系越境者とペナンの華人社会とのかかわりについて研究を進めた。また篠崎がクアラルンプールで建国過程における多民族国家の制度設計に関する文献収集を行った。 以上の活動について、共著の刊行(細田尚美「海外就労―国民の1割が海外に」)、論文の刊行(篠崎香織「華人のイスラム教への改宗(1950-60年代」に見るマラヤ地域の社会と国家)、学会発表(細田尚美「移民研究からみた東南アジア研究」)などのかたちで成果を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、マレーシア半島部とサバ州とで調査・研究を実施することができた。当初の計画では、マレーシア半島部についてはクアラルンプールのみを想定していたが、ペナンにおいても調査を実施することができた。文献収集、現地専門家との意見交換、移住者・移住者組織に対する聞き取り調査等をそれぞれの地域を対象に進めるとともに、今日的な状況のみならず建国期における制度設計についての歴史研究にも着手することができ、これら活動の一部を論文や学会発表のかたちで成果として公表することもできた。
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今後の研究の推進方策 |
国内研究会、文献調査、現地調査を引き続き実施する。国内研究会では、現地調査の分析結果を共有し、それを踏まえて以降の活動について打ち合わせる。文献調査では、定期刊行物、書籍、映像資料を引き続き購入するとともに、関連記事を整理する。現地調査では、サバ州および半島部(ペナンおよびクアラルンプール)において、インドネシア系、フィリピン系、ミャンマー系の越境者の実態とマレーシア社会との関りについて引き続き調査を行うとともに、越境者がマレーシアの民族間関係に及ぼしうる影響について調査・研究を進める。研究体制外の研究者との意見交換を積極的に行い、そのための場として公開研究会や学会報告などを企画・実施する。
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