研究課題/領域番号 |
16H03324
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
河野 銀子 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (10282196)
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研究分担者 |
小川 眞里子 三重大学, 人文学部, 名誉教授 (00185513)
財部 香枝 中部大学, 国際関係学部, 教授 (00421256)
横山 美和 お茶の水女子大学, 基幹研究院, リサーチフェロー (70725267)
大濱 慶子 神戸学院大学, グローバル・コミュニケーション学部, 教授 (30708566)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ジェンダーと科学技術 / 科学技術政策 / 女性研究者支援 / 男女共同参画 / パイプライン理論 / 国際比較 / システマティック・レビュー / 半構造化インタビュー |
研究実績の概要 |
「女性研究者の実態と支援政策の国際比較研究」は、欧米等の女性研究者の実態およびその支援政策の動向とすり合わせることによって、日本の女性研究者の実態を国際的に位置づけ、研究者に占める女性割合が低い背景を探ることを目的としている。具体的には【量的調査;a】【質的調査;b】【資料調査;c】【文献調査;d】の4つの調査研究を、研究代表者、研究分担者および研究協力者(大坪久子・日本大学)の6名体制で、協同して進めている(以下、a),b),c),d)と略記)。 平成28(2016)年度は、公表された“She Figures 2015”にもとづき、a) EU・米国・アジアの女性研究者の割合等に関する推移の統計的把握に着手し、b) 女性研究者割合の増加を阻害する要因と具体的解決策を探るためのインタビューを1名に対して実施し記録を作成した。インタビュー調査は、2名のインタビュアーが半構造化インタビューの方法によって実施し、所要時間は2時間程度であった。 c) 資料調査については、具体的な進め方を検討し、とくに、ケミカル・ヘリテージ財団が蓄積しているオーラルヒストリーの整理状況を把握することで、今後の分析方法に関する方針を明確にした。 さらに、 d) 女性研究者増加の阻害要因と政策に関する理論的検討の手立てとして、欧米で議論されてきた「パイプライン理論」について、システマティック・レビューの手法により文献収集を行った。そのうち、2006年以降2015年までの論文等の分析結果については、11月に開催された科学技術社会論学会第15回年次研究大会(於:北海道大学)で発表し、さらに分析を精緻化した結果を論稿にまとめて投稿し、査読を経て『ポリモルフィア第2号』(九州大学男女共同参画推進室)に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2016年度に実施を予定していた「量的調査」と「資料調査」の整理に着手しただけでなく、当初の計画では2017年度に実施予定としていた「質的調査」と「文献調査」にも取り掛かることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、上述した4つの調査によって研究を進めている。具体的には、a) EU・米国・アジアの女性研究者の割合等に関する推移の統計的把握、および、b) 女性研究者割合の増加を阻害する要因と具体的解決策の検討、c) 各国や地域の女性研究者支援政策の系譜の作成、d) 女性研究者増加の阻害要因と政策に関する理論的検討である。 初年度は a)、b)、c)、d)のそれぞれに取り掛かり、学会発表や論文投稿などを行った。平成 29 (2017) 年度は、上記4調査をより深めるとともに、次年度のまとめに向けて、特にb) を重点的に行う。4調査における具体的計画は次の通りである。 a) については、引き続き入手可能な公的統計等を収集し、国際比較に資する基礎データを整える。b) については、各国や地域の女性研究者を増やす政策がどのように始まり、どのような困難があり、どのように乗り越えたのか、など、a)、c)、d) の調査ではとらえきれない実態や背景を、インタビューによって明らかにする。c) については、公表されている行政資料等に加え、国内外の報告書類も収集し、女性研究者支援政策の流れと具体的内容を整理する。また、ケミカル・ヘリテージ財団が蓄積した資料(オーラルヒストリー)の分析にも着手する。d) については、引き続き、「パイプラインセオリー」に関する論稿等のシステマティック・レビューを行う。前年度は、2006年以降を対象として分析したので、本年度は2005年以前を中心に整理し、政策の理論的基盤としての影響力を検討する。 以上は、研究代表者・分担者・研究協力者を中心に、国内外の研究者の協力を得て、研究成果を広く社会に還元することを念頭において進める。特に、d) の分析結果は、2017年5月に東京で開催される国際会議「ジェンダー・サミット10」で発表することが決まっており、国内外へ発信することができる。
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備考 |
Gender and Science, Technology, Engineering and Mathematics: Comparative Study on Policies Promoting Women's Participation in STEM Fields www.stem-diversity.com
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