研究課題/領域番号 |
16H03344
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
出口 康夫 京都大学, 文学研究科, 教授 (20314073)
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研究分担者 |
藤川 直也 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (40749412)
大森 仁 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (50771036)
大西 琢朗 京都大学, 人社未来形発信ユニット, 特定准教授 (50773529)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 東アジア思想 / パラコンシスタント論理 / 真矛盾主義 / 三論思想 / 天台思想 / 西田哲学 |
研究成果の概要 |
東アジアの「空」思想の現代哲学的・論理学的解釈を行い、それが様々な仕方で、真なる矛盾の存在を認める真矛盾主義として解釈できることを示した。例えば、中国仏教の三論思想における空は、超二項対立的(不二的)な実在のあり方を意味するが、その実在の不二性を言語的に表現する一つの仕方が矛盾である。また「空假中」という三諦として展開された天台思想における空概念は、実在そのものの(互いに異なった三諦という性質を同時に持つという意味で)矛盾したあり方であることが示された。また空概念を絶対矛盾的自己同一として展開した後期西田哲学では、矛盾としての空は全ての実在を生み出す創造性をも意味していたことが明らかにされた。
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自由記述の分野 |
哲学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、大乗仏教に代表される東アジア思想が、真なる矛盾の存在を認めていたことを改めて示すとともに、真なる矛盾に籠められていた意味をも明らかにした。このことは、東アジア思想は哲学の名に値しない、単なる宗教的ビジョンにすぎないことを意味するのではない。本研究が行なったように、矛盾を論理的に無害化するパラコンシスタント論理と、真なる矛盾を認める真矛盾主義を援用することで、矛盾を認める東アジア思想を、筋の通った哲学的立場として理解することも十分可能なのである。東アジア思想に対するこのような解釈は、文明間の対話を促進する思想的基盤を提供し、今日の世界情勢に適した多元的な世界観を切り開く契機となりうる。
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