研究課題
本研究は、集団が伝承や伝統を通して暗黙裡に共有する記憶という「集合的記憶」の概念を、数理物理学から生まれた「確率共鳴」理論や神経科学における身体の内受容感覚モデルを応用し、世代を超えた「記憶の共有」という現象を、「共振・共鳴」という身体現象を指標として考察してきた。集合的記憶が問題となるのは、たとえば戦争の記憶やその継承におけるように、集団における記憶の共有が共同性の礎をつくるのか、それとも共同性が記憶の共有を可能とするのかという問いを提起するからである。私たちは、自分が生い育った文化的空間の中で、無自覚のうちに多くの記憶を背負っている。そのために、心理的のみならず、身体的な観点からも、共鳴という現象を考察する必要があるのである。身体受容感覚におけるモデルや確立共鳴理論は、イデオロギーや「民族」という概念とは別に、記憶の伝播・感染を論じるという点で、新しい視座を開拓するものであった。今年度は、三度研究会を開催し、それぞれの知見を交換しあうと共に、それぞれの領域において、公開シンポジウム(代表者企画)、国内学会における成果発表(10回、国際研究集会における成果発表(11回)、国際ジャーナルにおける発表(7本)、国内ジャーナル(2本)、など、成果を公表した。メンバーの一人は国際研究集会でBest Paper Awardを受賞し、また、メンバーの共著者がYoung Author Awardを受賞、さらに別のメンバーも共著者が学術大会特別優秀発表賞を受賞した。また、代表者が編者となって論集を刊行した。さらにメンバーの一人は、共編著の論集を刊行した。これらと並行して、これまでの成果を踏まえて、今後のさらなる展開に向けて、問題設定や視野の拡大の可能性についても論じ合った。それを受けて、後継プロジェクトとして新たな研究課題を設定し、企画することができた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 13件、 招待講演 2件) 図書 (2件)
『生物科学』
巻: 70巻3号 ページ: 171-177
『心理学評論』
巻: 61巻3号 ページ: 322-329
『非在の場を拓くー文学が紡ぐ科学の歴史』
巻: 1 ページ: 469-551
In The Proceedings of Artificial Life and Robotics
巻: ISBC OS2-1 ページ: 1168 - 1171
フッサール研究
巻: 16 ページ: 92-104
Cerebral Cortex
巻: bhy166 ページ: 166
https://doi.org/10.1093/cercor/bhy166
Scientific Reports
巻: 8 ページ: 10062
https://doi.org/10.1038/s41598-018-28174-7
Psychological Topics,
巻: 27(1) ページ: 1-15
ICAISC
巻: LNAI 10841 ページ: 47~57
https://doi.org/10.1007/978-3-319-91253-0_5
Progress of Theoretical and Experimental Physics
巻: 8 ページ: 083A02
IFAC PaperOnLine
巻: 51-14, ページ: 207-211,
指導と評価
巻: 64--8 ページ: 37-39