研究課題
基盤研究(B)
最大の成果は、石澤靖典・森岡卓司編『大正・昭和期における東北の写真文化』(山形大学人文社会科学部叢書13 2021.3 ISBN9784907085124 非売品)の刊行である。本書は、大正期と昭和期における東北全域の写真文化史をカバーする内容の論集であり、類書に例のない充実した内容を有している。この他にも、合計3回のシンポジウムの主催と報告書の作成、複数回の研究集会の開催、学会参加、一般向けイベントの共催などを通じて、近代東北の写真文化史が持つ重要性を解明し、学界及び一般社会に広くアピールしてきた。
近代日本文学・文化
記録から芸術的表現、そして報道、リアリズムへと、目まぐるしく揺れ動いた近代日本の写真文化史のなか、東北地方の写真文化がどのように発生、展開していったのか、広範かつ具体的な資料調査によって明らかにした。さらに、そうした東北写真文化史の動きと、文学や社会現象までも含む文化的言説全体との関わりを明らかにした。こうした研究活動を推進するなかで、関連する美術館、博物館等の機関と大学とのあいだに、全東北をカバーするネットワークができたことも、大きな社会的意義を持つ成果である。