研究課題/領域番号 |
16H03381
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
羽田 康一 東京藝術大学, 美術学部, 講師 (30240724)
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研究分担者 |
長谷川 克義 長岡造形大学, 造形学部, 准教授 (80460319)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ネパール / 真土/まね / 連続楕円形鑄掛け熔接 / オリュンピアー / アテーナイのアゴラー / デルフォイの馭者 / 馬糞 / 3Dスキャンデータ |
研究実績の概要 |
2017年度の活動を摘記する。 (1) 文献調査・現物調査──2017/4月~通年 古代文献と研究文献の収集、調査。成果は論文とウェブサイトに活用。/5月 北海道で寒冷地におけるブロンズ彫刻の制作と保存修復について現物調査。馬そのものと馬のブロンズ彫刻の観察。札幌競馬場、札幌・新冠間の牧場数ヶ所と馬の彫刻10数点、北海道大学静内研究牧場など。 (2) 再現制作──4月~通年 連続楕円形鑄掛け熔接の再現実験:「リアーチェの戦士A」のトルソ/左肩、「リアーチェの戦士B」のトルソ/左脚/陰嚢/ペニス、左腕/左手。元原型2体の補正。蝋原型までの工程の考察:ネパール、日本(真土)、古代ギリシアの鑄型とその工程の比較・再現実験。昨年度再現制作した「リアーチェの戦士A」の右足(ブロンズ)を、鉛を使って大理石基台に据え付ける再現実験(途中まで)。 (3) 成果公開──5月 札幌で講演会「古代ギリシアのブロンズ彫刻」を開催。「リアーチェの戦士」「アルテミーシオンの馬と少年」の制作技術を中心に。連続楕円形鑄掛け熔接の再現実験の成果物を展示し、手に取ってもらった。/8月 台湾(台北)で開催されたアジア鑄造技術史学会の大会で研究発表。昨年度実施したネパールの鑄造所での調査について。/11月 ウェブサイト「古代ギリシアのブロンズ彫刻 Greek Bronze」(https://www.greek-bronze.com)を開設した。1994年以来蓄積してきた文献調査・現物調査・再現制作に基づく情報と知見を、どこからでもアクセスできる形で公開(和・欧文)。今後も随時更新を続ける。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度したことは、一年前に「研究実施計画」に記した内容とほぼ同じで、「おおむね順調に進展している」。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度の予定内容を記す。 (1) 文献調査・現物調査──2018/4月~通年 古代文献と研究文献の収集・調査。/10-11月 アテネ、ピレアス、オリンピアでギリシアブロンズ数点、および鑄造坑からの出土品の現物調査。 (2) 再現制作──4月~通年 すでに制作した「リアーチェのブロンズ」の元原型の補完。連続楕円形鑄掛け熔接の追加再現実験と検証。大理石基台への鉛による固定の再現実験。鑄造土・蝋原型・鑄型の再現実験。 (3) 成果公開──4月~通年 2017/11月に開設・公開したウェブサイト(https://www.greek-bronze.com)の更新・充実。2019年秋出版予定の論文集に収める論文の翻訳(2016/11月イタリアで実施したシンポジウムの論文集。日→伊4本、伊→日4本)。/8月 東京で開催されるアジア鑄造技術史学会の大会で研究発表。「リアーチェのブロンズ」の鑄造土と鑄型の再現実験について。/10月 レッジョ・カラーブリア国立考古博物館で開催される「リアーチェ・コンヴェーニョ」で研究発表。同時に論文集に収める論文も提出。テーマは「リアーチェのブロンズ」についての総合的推論、連続楕円形鑄掛け熔接の再現実験、など。/2019/2-3月 メッシーナ大学で集中講義「古代ギリシアのブロンズ彫刻」(Bronzi Greci Antichi)。 一応今年度が最終年度になるが、研究は来年度以降も続ける。代表者は今年度限りで科研費資格を失うため、共同研究者の中から誰か研究代表者を引き継いでくれる人が現れることを期待する。いずれにせよ2019年度にはレッジョ・カラーブリア国立考古博物館で「リアーチェ再現案展覧会」が計画されており、私たちも成果物を出品する予定である。メッシーナ大学の共同研究者たちとともにあちらの補助金を申請する。
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