研究課題/領域番号 |
16H03389
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
小峯 和明 立教大学, 名誉教授, 名誉教授 (70127827)
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研究分担者 |
鈴木 彰 立教大学, 文学部, 教授 (40287941)
金 文京 鶴見大学, 文学部, 教授 (60127074)
染谷 智幸 茨城キリスト教大学, 文学部, 教授 (90316498)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 環境文学 / 東アジア / 漢字漢文文化圏 / 16世紀前後 / 二次的自然 |
研究実績の概要 |
今年度は、〈環境文学〉の課題立ち上げにともない、その範疇を分担者及び作業グループと協議、検討した。代表者を中心に作業グループもあわせて、〈環境文学〉研究会を立ち上げた。〈環境文学〉研究会を軸に、5月、7月、9月、12月、と準備会を積み上げ、〈環境文学〉の対象となる資料群の仮目録を作成、資料集のフォーマットを確定してデータベース化を検討し、データ収集の作業に入った。 国内調査に関しては、8月と翌年2月に、南方熊楠顕彰館で南方熊楠の〈環境文学〉関連の資料調査を行い、8月に沖縄で観音信仰と〈環境文学〉との関連をめぐるフィールドワークを行った。海外調査に関しては、8月にベトナムのハノイ郊外の寺院調査を行い、寺院ゆかりの蛮娘の神像や縁起に関する版木などを調査することができた。さらに、年明けの3月にハノイの漢喃研究院でベトナム漢文の〈環境文学〉関連の資料調査を実施した。また、3月にソウルの東国大学、高麗大学、ソウル大学各図書館の〈環境文学〉関連の資料調査を実施し、北漢山の寺院と山岳に関するフィールドワークを行った。続いて北京の国家図書館、清華大学、北京大学などでも〈環境文学〉関連の資料調査を行い、研究会も実施した。11月に、中国人民大学で「日本と東アジアの〈環境文学〉」と題して、最初のシンポジウムを開催した。代表者が基調講演を行い、〈環境文学〉の基本問題と方法論を提起した。とりわけ中国における日本学の有力メンバーが一堂に介し、フランスの研究者なども交えて、かなりレベルの高い議論ができ、活発な議論が交わされた。 今年度分の報告書として、ニュースレターを編集中で、5月初めに発行の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
〈環境文学〉の仮目録と資料集基礎データの作成、ニュースレターの発行に関して、各種の目録類をもとにその他の諸情報を加えて、日本と東アジアの〈環境文学〉資料群の範囲と対象を確定、仮目録を作成し、データ収集作業に入った。しかし、範囲が多岐に及び、資料の入力方法や分類項目自体がやや確定しえない分野が残った。今後も検討を継続する必要がある。ニュースレターは編集中で5月初めには発行できる見込みである。 国内調査の実施に関しては、紀伊田辺市の南方熊楠顕彰館の南方熊楠に関する資料調査を主とし、さらに沖縄(県立図書館、県立博物館関連が中心)の資料調査及び本島の中北部に点在する観音・ビジュル信仰と環境保護に関するフィールドワークを行った。〈環境文学〉と信仰があらたなテーマとして浮上してきたといえる。 海外調査は、中国は北京(中国人民大学、清華大学、北京大学、国家図書館)、韓国はソウル(ソウル大学、高麗大学、東国大学)、ベトナムはハノイ(ハノイ大学、漢喃研究院)等々で、〈環境文学〉関連の資料調査を実施した。ハノイでは近郊の寺院のフィールドワークも行った。国内調査と同様、寺院の配置や伽藍、地域とのつながり等々が、環境との関わりから重要な位置を占めることが浮かび上がってきた。 研究会とシンポジウムの開催は、代表者と資料集作成の作業グループを中心に研究会を開催したが、分類項目に問題が残った。また、中国人民大学でシンポジウムを行い、〈環境文学〉論集につながる成果の一端ができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.〈環境文学〉の四つの柱のうち、最初の四季の形象と言説に関して、天体・気象・四季、名所・聖地、生活空間等々に細分化させて、資料収集をより徹底化する。 2.国内調査は、次年度は南方熊楠顕彰館は継続し、北海道を対象とする。 3.海外調査は、北京、ソウル、ハノイ等々を継続する。 4.研究会は継続し、シンポジウムは中国・清華大学、ハノイ・漢喃研究院などで開催する。
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