研究課題/領域番号 |
16H03393
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田尻 芳樹 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20251746)
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研究分担者 |
秦 邦生 青山学院大学, 文学部, 准教授 (00459306)
佐藤 元状 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (50433735)
吉田 恭子 立命館大学, 文学部, 教授 (90338244)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | モダニズム / 遺産継承 / 英米文学 / 英語圏文学 |
研究実績の概要 |
平成28年度はまずメンバー4人で7月10日にメタモダニズム関連文献(David Jamesなど)の読書会を東京大学で、10月23日にRebecca Walkowitz, Born Translatedの読書会を慶応大学でそれぞれ行い、部会の参加者も含めて活発な討議を行った。 田尻は3月末にクッツェー研究の世界的権威であるDavid Attwell教授(英国ヨーク大学)を招へいし、講演と研究会に参加してもらった。また29年度への繰り越し分でマンチェスター大学のDaniela Caselli博士を29年4月に招へいしモダニズムと現代文学関係の講演をしてもらった。秦は、おもにIan McEwanのAtonement (2001)を対象に、モダニズム的な「語り」と視点の実験を継承しつつ、伝統的な物語性にも回帰する現代英語小説のメタモダニズム性を検討し、論考としてまとめた。また同時に、David MitchellのCloud Atlas (2004)における戦間期モダニズムの継承を検討した。佐藤はGraham Greeneの文学史的な立ち位置をハイモダニズムに遅れてやってきたモダニストとして捉え、映画などの同時代のメディアと積極的に戯れるその独自の文学的戦略について検証した。とりわけ1920年代のグリーンのオックスフォード時代の仕事を大英図書館でリサーチした。吉田は吉増剛造英訳詩集 Alice, Iris, Red Horse (2016)の翻訳・編纂の過程を振り返り、日本とアメリカの詩人・翻訳者・翻訳を招聘しシンポジアムを開催、日本語表現・日本語表記にとどまらない言語横断的な実験詩を翻訳する際のさまざまな戦略・手法について検討・意見交換を行った。また、翻訳としてのアメリカ文学というテーマで台北師範大学で講義を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
29年度繰り越し分を含めた28年度は順調に研究が進展した。予定通り海外から二人の研究者(David Attwell, Daniela Caselli)を招へいし充実した研究交流を行っただけでなく、2回の読書会を東京大学と慶応大学で開いて、メタモダニズムの重要性について部外者も含めて議論を深めることができた。また各メンバーがそれぞれの問題関心に従って、国内外で研究活動を行い、研究を進展させた。こうしたすべてが予定通りであり、順調だったと言える。
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今後の研究の推進方策 |
28年度と同様、今後も重要な研究者を海外から招へいしたり、国内で読書会を開いてメタモダニズムについての理解を深めてゆく所存である。同時に各メンバーが海外で研究発表や調査を行い、それぞれの問題関心に従って研究を進展させてゆく。
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