研究課題
本研究は、「ホームランド」をキーワードとしてアメリカ文学を時代、地域、ジャンルを横断して考察し、ホームランドに内在する政治学、その帰属と越境の力学を明らかにしようとするものである。本年度は以下のような活動を行った。全体の活動としては、2018年5月13日に九州アメリカ文学会第64回大会において「アメリカ文学と<境界>」と題するシンポジウムを開催し、共同研究メンバーから竹内勝徳氏、岡本太助氏、それに小谷が講師として参加した。個別の研究活動としては、岡本氏が初期アメリカ演劇におけるホーム概念や、演劇を中心とする北米文学における母性表象に関する研究報告を行い、下條恵子氏はアメリカへの移民の旅行記のアメリカ的自伝の伝統への変容やアメリカの建国神話形成への貢献について国際学会で発表した。竹内氏は19世紀アメリカのホームランドの概念についてトウェインやメルヴィルのトランスアトランティックな移動や創造的空間の構築に関する論文を執筆し、高野泰志氏はH.G.ウェルズに始まる侵略文学とSF映画をホームランド襲撃という観点から検討する試みを行った。また高橋勤氏はカリフォルニア大学デイヴィス校において、19世紀アメリカのネイティヴィズムに関する資料の収集・調査を行い、喜納育江氏はカレン・テイ・ヤマシタの作品を通して、サンフランシスコ湾岸地域において日系を含むアジア系アメリカ人移民の歴史に関する聞き取り調査を行ったほか、現地図書館で関連資料の収集を行った。小谷もニューヨーク公立図書館において20世紀前半のホームランド言説に関する資料の調査を行った。そうした研究活動を踏まえ、最終年度の成果報告書として共同研究メンバーがほぼ全員参加する形で、『ホームランドの政治学――アメリカ文学における帰属と越境』と題する研究書を刊行した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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