研究課題
2016年度には、女性作家たちの意識と同時代のジェンダー表象を踏まえ、さまざまな観点からインドや西インド諸島における植民地支配の歴史やフィクションを連関させた研究を開始した。彼女らの感受性文学には、奴隷、動物、女性の身体をめぐる言説が内包されていた言語的構造を読み解くことを主眼におきいて、メンバーそれぞれが積極的に国内外の学会に参加して海外の研究者とも意見交換することも心がけた。2017年度には、そのネットワークを基盤にして、イギリス、カナダ、アメリカの18世紀文学、ロマン主義の研究者を複数名日本に招聘(しょうへい)招聘することができた。たとえば、イギリスの18、19世紀文学の専門家マークマン・エリス教授を招聘して、大英帝国時代における感受性とジェンダー表象をテーマとした講演を開催した。海外の研究者との知的交流を通して、この時代に広く読まれた思想書、科学書、雑誌、新聞などの言説がいかに植民地制度と深く結びついて構築されていたか、また、それに対抗する女性作家がいかに女性/・動物、身体、チャリティ、宗教、教育をめぐる感受性の言語態を包括した小説を書いていたかについて明らかにした。最終年度は、感受性文学の金字塔とも呼べるメアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』刊行200周年記念の年でもあったため、“Romantic Regenerations国際学会”を東京大学と共催し、カナダから招聘したアラン・ビューエル教授にこの小説をテーマとした特別講演をお願いした。また、この本科研費研究の1一つの大きな成果としては、この小説刊行200周年を世界規模で開催していた“Frankenreads”に参加したことである。上智大学ヨーロッパ研究所と協力して、英・米から1一人ずつ、国内からも専門家を招聘して『フランケンシュタイン』の国際シンポジウムを開催した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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