研究課題/領域番号 |
16H03397
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中地 義和 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50188942)
|
研究分担者 |
月村 辰雄 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50143342)
野崎 歓 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (60218310)
MARIANNE SIMON・O 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (70447457)
塚本 昌則 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (90242081)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 詩学 / レトリック / 文学ジャンル / 韻律 / 散文詩 / 詩的散文 / 現代性 |
研究実績の概要 |
19世紀詩学をめぐる理論的文献の精査を進めた。具体的には、バンヴィル『フランス詩提要』、重要詩集の序文、詩人による作家論、ボードレール、マラルメ、ヴェルレーヌ、ランボーらにおけるメタポエムの検討を通じて、19世紀詩人が自らの詩作をいかに理論づけているかを具体的に検証した。 19世紀の特徴的な現象である散文詩に関して、隣接領域である詩的散文(ネルヴァル『ボヘミアの小さな城』、ランボー『地獄の一季節』、ロートレアモン『マルドロールの歌』)との比較・対照の視点から、その発生と展開を跡づけた。研究代表者はボードレールとランボーの散文詩をめぐる成果の一部を、コレージュ・ド・フランスでの連続講義において発表した。また、近代詩学を専門とする海外の研究者を招聘し、詩学における「現代性」をめぐる講演を企画し、集中的に討議する機会を持った。同じ研究者を囲んで、ロートレアモン『マルドロールの歌』における叙事詩(エポぺ)の側面の検討も行なった。 韻文と散文の交差現象に関して、韻文詩の詩節分けの枠組みを踏襲しながら最初の散文詩を試みたベルトランの例、同一テーマを韻文と散文で扱ったボードレールの例、散文のなかに韻文的リズムを導入したマラルメ、ランボーの例を対象に、リズムと文体の二重の視点から新たな検討を試みた。韻文の散文化現象に劣らず、ある種の散文詩や散文において韻文的韻律が強く残存することがあらためて確認された。その意味づけが今後の作業の一つである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度中に予定していた海外研究者との研究交流が、先方の事情で次年度に繰り越されたが、それ以外は、おおむね当初の予定どおりに推移している。近代詩学の理論的文献の検討、散文詩と隣接領域との比較検討、韻文と散文の干渉現象の検討を、並行的に、また相互に関連づけながら進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、(1)フランス近代における詩学とレトリックと相関関係、レトリックにおける隠喩の特権化、隠喩におけるイメージの優越の現象、及びそれに関連して(2)20世紀前半の詩人たちにおける、閉じられた作品としての「詩」への異議申し立ての現象を検討する。また、詩の受容の観点から、(3)剽窃やパロディの問題、(4)非時系列な詩史の構築の可能性、を検討する。
|