研究課題/領域番号 |
16H03401
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
納富 信留 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50294848)
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研究分担者 |
長谷川 岳男 鎌倉女子大学, 教育学部, 教授 (20308331)
近藤 智彦 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (30422380)
栗原 裕次 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40282785)
田中 伸司 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (50207099)
大芝 芳弘 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (70185247)
田坂 さつき 立正大学, 文学部, 教授 (70308336)
金子 善彦 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 准教授 (90278309)
高橋 雅人 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (90309427)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 古代ギリシア / 人間 / 哲学 / 西洋古典 / 西洋史 / 超越 / プラトン |
研究実績の概要 |
5年計画の初年度にあたる平成28年度には、「超越」をめぐる西洋古代文明・哲学をテーマとする研究全体を打ち合わせ、研究活動を開始した。 プロジェクトメンバーは多数の国際研究集会に参加して学会発表(英語)を行なった。主なものでは、7月にブラジル・ブラジリアで開催された国際プラトン学会「第11回プラトン・シンポジウム」では『パイドン』について納富信留と荻原理が研究発表を行い、栗原裕次は学会運営委員として司会などを務めた。その前後にサンパウロで開催された研究集会でも、納富、荻原が研究発表を行った。8月には韓国・ソウル大学で開催された現代哲学学会で納富が報告し、10月にシンガポールのイェールNUSで開催された国際研究集会で栗原と納富が研究発表を行った。また、4月にポルトガル・リスボンで開催された国際学会、及び、1月にギリシア・アテネで開催されたワークショップで、田坂さつきが研究発表を行った。それぞれの機会に、海外の研究者と研究について打ち合わせを行った。 それらの成果は、学術雑誌や書籍として日本語と英語で多数発表された。栗原裕次『プラトンの公と私』(知泉書館)は長年の研究成果であり、2013年にイタリア・ピサで開催された国際プラトン学会「第10回プラトン・シンポジウム」の研究論文集Plato in Symposium(Academia Verlag)が出版され、納富と栗原の論文が採用されている。 海外からの研究者としては、9月にベルリン・フンボルト大学の古代科学史フィリプ・ファンデアエイク教授を招き、ガレノスの哲学について講演会を開催して、活発な議論を行った。 国内での共同研究集会としては、9月にブラジルでの国際プラトン学会報告会を開催し、12月には栗原裕次の新著『プラトンの公と私』を主題にした合評会、3月に研究報告会を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
国際学会での発表が当初の予定よりも多く行われた点を中心に、計画以上に進展していると判断される。具体的には、国際プラトン学会大会参加の機会に、ブラジルで研究発表の機会を得たこと、シンガポールで新たに研究連携の企画を始め、納富と栗原がそこで研究発表をしたこと、イギリスで長期研究に当たった田坂がギリシアでの国際学会に参加したことなどが評価される。それらの発表論文は学術雑誌や論文集に投稿されており、来年度以降に出版されることが期待される。 学術雑誌を中心とする媒体での論文出版も順調であり、とりわけ、納富がOxford Bibliographiesで発表したプラトン『ソフィスト』の文献考究は、世界の研究者の基礎情報となる。 9月に国際基督教大学で開催されたギリシャ哲学セミナーの第20回研究大会では、荻原理、近藤智彦が研究報告を行い、その論文が当セミナー『論集』に掲載された。 これらの成果は、日本における西洋古典学・古代哲学の研究を牽引するものであり、国際的な発信としても質量ともに十分に評価されるはずである。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度とそれ以降は、当初の計画に従い、国際学会での発表、海外研究者を招いての講演会、欧文での学術成果の発表を続けていく。 29年度には、オスロ大学のラッバス教授による講演会を東京で開催し、フィレンチェ大学のフランチェスコ・アデモロ教授が東北大学に招聘される機会に、東京でもプラトン哲学の講演会を開催する予定で交渉を進めている。 また、2018年4月に台湾で開催される予定の国際プラトン学会の第2回アジア地区大会に向けて、台湾・韓国の研究者と協力しながら準備に当たっている。その学会では、栗原裕次と田坂さつきが運営委員になっており、納富信留が招聘講演を行う計画である。また、海外で開催される国際学会やワークショップにも積極的に参加して、研究発表を行う予定である。 国内での研究会は、東京とそれ以外の場所で29年度には3回程度開催する予定である。
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