研究課題/領域番号 |
16H03404
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
荒見 泰史 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (30383186)
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研究分担者 |
遊佐 昇 明海大学, 外国語学部, 教授 (40210588)
松尾 恒一 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50286671)
上島 享 京都大学, 文学研究科, 教授 (60285244)
桂 弘 広島工業大学, 情報学部, 准教授 (80643022)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 敦煌 / 敦煌文献 / 壁画 / 仏教 / 道教 / 民間信仰 |
研究実績の概要 |
本課題は、主として敦煌の文献資料および壁画資料に見られる仏道二教の融合の状況、特に民間層に浸透して道教や民間信仰と融合した密教資料の整理を通じて、唐末期の社会変化、特に王朝を中心とする宗教の形から地方豪族や民と寺院の結びつきを中心とする形へと変化した時期における、9、10世紀に宗教が民へと接近し、通俗化していく流れについて考えることを中心とする。この本研究を遂行するために、本年度も引き続き意見交換、資料の収集、翻刻作業、現地調査、進捗状況の確認を中心に行ってきた。意見交換は、研究代表者と研究分担者は、引き続き海外の研究協力者、国内の研究協力者らとスカイプ、E-mail等で個別に連絡を取り合い、研究資料や分析についての意見交換を行ってきた。そのほか、研究代表者は北京に2週間、台北に2週間、敦煌に10日程度間滞在し、現地の研究協力者と綿密な相談及び共同調査を行うことができた(ただし、コロナ・ウイルス蔓延により2-3月の計画は中止になった)。資料の収集についても、北京、台北滞在時に現地資料を確認することができた。また敦煌写本や日本資料の写真資料や翻刻資料集を継続的に購入している。翻刻作業は主として研究代表者を中心に、関連文献の訳注作成が進んでいる。現地調査は、本年度は文献調査では大英図書館、国内の和泉市久保惣美術館、平山郁夫美術館での調査を行い、石窟の調査では、四川省の石刻資料及び敦煌調査をおこなった。進捗状況の確認としては、5月嘉義大学、7月四川大学、8月龍谷大学、10月国立政治大学、11月国立中興大学などで研究発表を行ったほか、それぞれ研究成果の確認を行った7月に広島大学で「伝えられた声とその廻響き」と題して研究分担者、研究協力者とともに国際シンポジウムを開催した。 また本年度は広島県尾道市の平山郁夫美術館と協定をおこない、研究活動内容発表の場としての協力を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ・ウイルス蔓延の影響で海外への調査が予定通りできていない。3月には台湾を訪問し、中央研究院所蔵の敦煌文献の調査を行う予定だったが中止せざるを得なかった。また同時に台湾研究者とも様々な協議を行う予定だったが、電子会議システムでの連絡にとどまっている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度中に成果の一部を出版公開する予定で、既に校正段階に入っている。今年度前期中には出版される見込みである。その他の調査、研究発表などの活動は、コロナ・ウイルスの感染状況により左右される可能性がある。本研究課題の最終年度にあたる2020年度は、パリで敦煌学国際聯絡委員会の大会が開かれる機会に研究成果の発表を行い、同時にパリの図書館での敦煌文献の調査を予定していたが、すでに大会の実施が難しい状況にあるばかりか夏の渡航も難しい状況にある。但し、夏に国内で予定していた最終年度の研究集会は電子会議システムを併用するなどして予定通り実施を企画しており、研究成果を収集し公表する準備は進めている。
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