研究課題/領域番号 |
16H03405
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中里見 敬 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (30250963)
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研究分担者 |
太田 一昭 九州大学, 言語文化研究院, 学術研究者 (10123803)
松浦 恒雄 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (20173792)
西村 正男 関西学院大学, 社会学部, 教授 (80302652)
加藤 徹 明治大学, 法学部, 専任教授 (80253029)
田村 容子 金城学院大学, 文学部, 教授 (10434359)
平林 宣和 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (40271358)
藤野 真子 関西学院大学, 商学部, 教授 (20332653)
三須 祐介 立命館大学, 文学部, 准教授 (60339653)
織田 崇文 (森平) 神戸学院大学, グローバル・コミュニケーション学部, 准教授 (30468847)
長嶺 亮子 (長嶺亮子) 沖縄県立芸術大学, 付置研究所, 研究員 (30589784)
波多野 真矢 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 講師(非常勤) (10329005)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 中国文学 / 演劇学 / 音楽史 |
研究実績の概要 |
1.昨年決定した戯単の解説執筆の分担に基づき、戯単解説の執筆を進めた。原稿の完成した6点の解説は、中里見敬・潘世聖編『「『春水』手稿と日中の文学交流――周作人、冰心、濱一衛」国際シンポジウム論文集』(第3冊資料編)に収録し、あわせて中国語訳も掲載した。 2.濱文庫所蔵のレコードについて、基礎的なデータの採録をほぼ終えた。レコードの音声をデジタル化する作業については、音質その他の技術的な問題があり、作業が中断している。早期に開始できるよう対策を講じたい。 3.濱文庫に所蔵される冰心の詩集『春水』(1923)が、作者自筆の手稿本だと判明した。さらにこの手稿が周作人から日本人留学生・濱一衛に贈られた経緯も明らかになり、『中国現代文学研究叢刊』2017年第6期(総第215期)に中里見敬「冰心手稿藏身日本九州大学:《春水》手稿、周作人、濱一衛及其他」として発表した。その後、周家・濱家双方の尽力により、書簡15通が発見された。さらに周作人から濱一衛に贈られた書4点(周作人、銭玄同各1点、兪平伯2点)も見つかり、九州大学附属図書館に寄贈されることとなった。このように、周作人と濱一衛の交流に関する研究は短期間のうちに大きな進展を見せた。 4.研究会・シンポジウムを2回開催した。(1)研究集会「演劇アーカイブの最前線:イギリスと中国」平成29年6月17日(九州大学伊都キャンパス)発表者:三須祐介、松浦恆雄、太田一昭。(2)「『春水』手稿と日中の文学交流――周作人、冰心、濱一衛」 国際シンポジウム、平成30年2月6日(九州大学新中央図書館)基調講演:周吉宜、趙京華、小川利康、李莉薇。学術シンポジウム:顧偉良、平石淑子、佐藤普美子、濱田麻矢、松岡純子、牧野格子、岩﨑菜子、宮本めぐみ、虞萍。あわせてシンポジウム論文集(全3冊、554頁、28名執筆)を刊行し、戯単をはじめとする濱文庫資料の展示を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.戯単の研究に関しては、おおむね順調に進んでいる。 2.レコードの研究に関しては、音源の電子化が進んでおらず、研究が遅れている。 3.濱文庫所蔵の『春水』手稿の発見と、それに関連した周作人、冰心、濱一衛の交流に関する研究は、当初予想していなかった成果であった。『春水』手稿と周作人・濱一衛の交流については、国内外で多くの報道が行われ、社会的にも大きな反響を呼んだ。 4.研究集会・シンポジウムは成功であった。平成29年6月の研究集会「演劇アーカイブの最前線:イギリスと中国」では、中国演劇の新資料を用いた研究発表2つと、イギリス演劇研究における目録・書誌作成の実例をご紹介いただいた。とくに後者は、英文学における資料整理の報告であり、中国演劇研究にとって大きな刺激となった。平成30年2月に開催した「『春水』手稿と日中の文学交流――周作人、冰心、濱一衛」 国際シンポジウムでは国内外の冰心研究者、周作人研究者など第一線の研究者にご発表いただき、約80名の参加を得て盛会であった。 以上を総合すると、(2)おおむね順調に進展している、といえる。
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今後の研究の推進方策 |
1.濱文庫所蔵の戯単およびレコードについて、データベースの作成、および解説の執筆を継続して行う。集まった原稿に対して、重複のチェック、文体の統一等の整理を行う。一部の戯単については、新たな執筆者を依頼するなど、研究協力者を追加する可能性もある。レコードの研究に関しては、今年度中に音源の電子化を行い、研究を加速させる。 2.今年は本研究課題と関連する「周作人国際学術研討会」(早稲田大学)、「辻聴花生誕150年記念シンポジウム」(熊本大学)等の開催が予定されており、本研究メンバーも研究成果を発表するなど協力して、相互に知見を深める。
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備考 |
朝日新聞,毎日新聞,読売新聞,西日本新聞,日本経済新聞,時事通信,NHK等の国内メディアのほか、人民日報,人民中国(雑誌版),中国婦女網(womenofchina.cn英文),中国社会科学報,中央通訊社,朝日新聞中文網等の海外メディアにおいて、『春水』手稿発見に関する報道が行われた。またシンポジウムは、中国外交部、中国駐福岡総領事館のHPで速報された。
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