研究課題/領域番号 |
16H03411
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
Narrog Heiko 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (40301923)
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研究分担者 |
楊 凱栄 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00248543)
宮地 朝子 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (10335086)
大堀 壽夫 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20176994)
上原 聡 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (20292352)
小野 尚之 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (50214185)
LI Jialiang 東京大学, 教養学部, 准教授 (60747111)
ジスク マシュー・ヨセフ 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (70631761)
小野寺 典子 青山学院大学, 文学部, 教授 (90248899)
青木 博史 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (90315929)
真田 治子 立正大学, 経済学部, 教授 (90406611)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 歴史言語学 / 文法化 / 意味変化 / 日本語 / 中国語 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、11月26~27日に仙台で本課題の分担者全員のほかに海外からの招待講師4名(彭広陸(中国 東北大学)、楊文江(南開大学)、劉洪岩(燕山大学)、潘家(南開大学))、研究協力者1名(小柳智一)及び公募から選んだ2名を交えて「第1回日本語と近隣言語における文法化ワークショップ」を開き、分担者の研究自己紹介と本課題に関する研究計画を紹介してもらった後、招待講師及び一部の分担者による公開講演・公開発表を行った。青木による「です」の文法化、小柳の文法化と多義化との関係、劉・胡とジスクの訓点語における文法化などの研究発表と討論があった。 代表者、分担者各自の研究においては、代表者は文法化の中の主な意味変化としての主観化・間主観化の理論的研究に取り組み、三つの主観化・間主観化論の存在を明らかにし、言語現象の分析上の違いを示し、三つのアプローチを融合・超越した新アプローチを提案し、今年1月に書籍で発表できた。上原も同じく主観化を分析しながらも、ラネカーの認知意味論における主観化に焦点を当て、また、文法化関連現象として複文の主文化現象の日本語における概要を示し、いくつかの一般化や問題提起ができた。宮地は「だけ」の文法化に関する研究に取り組み、小野は日本語の構文的重複語の派生について研究を行い、真田は日本語語彙の量的変化を分析し、青木は形態変化の面では動詞活用の変化、意味語用論の面では文法化への語用論的要因の影響等と言った課題に取り組み、楊は中国語における使役と受身との間の変化、李は中国語におけるエヴィデンシャリティ表現の文法化、ナロックと楊(中国・南海大学)は、日本語のエヴィデンシャリティ表現の文法化に取り組んだ。ナロックは更に理論と一般化を中心にB.Heineと一緒に文法化の統語論的側面、そして文法化と言語類型との関係の解明に取り組んだ。近々に公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は組織を立ち上げ、研究課題の随行に必要な意識統一が主な目的で、分担者全員が参加者た第1回ワークショップでそれを果たすことができた。また、代表者・分担者各自ですでに一定の研究成果が上がっている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年に続いて、今年も11月頃に、分担者、研究協力者、招待講演者を集めた上で、研究発表も募り、東北大学でシンポジウムまたはワークショップを行い、公募とあわせて公開で行うことによって、本課題の研究分野の日本での振興を図る。 また、平成28年度に開始した研究代表者と研究分担者の各自のデータ分析及び理論的研究を継続する。 ナロックは、文法化と意味変化、文法化における意味と形態の相互関係、文法化と統語論、文法化と言語類型等、研究テーマを広く捕らえ、できるだけ指南となるような論考を発表し続ける。また、8月に文法化における形態と意味の関係について第一人者であるB. Heineがいるケルン大学(ドイツ)を訪ねて、このテーマについて協同研究を行う。 小野は、文法化の意味側面と構文面の相互関係の研究に取り組む。上原、小野寺は、そして研究協力者の小柳は、日本語の文法化において非常に顕著である主観化と対人化に取り組む。小野寺は、日本語の終助詞の史的変化を主観化と対人化の観点から分析した上で、文法化と語用論化という概念の理論的関係と関連付けて考察する。また、日本語終助詞の変遷を文法化と語用論化と構文化という三つの概念の中の位置づけの観点から分析する。上原と楊は、日中の授受動詞を文法化と主観化の観点から分析し、文法化を認知意味論の観点から考察する予定である。上原はさらに、中国語と東南アジアの言語との比較を視野に入れながら、方向性などを表す補助動詞の文法化の研究を行う。 楊(南海大学)とナロックは日本語におけるエヴィデンシャリティ(証拠性判断)の文法化の解明に取り組み続け、李は中国語史におけるエヴィデンシャリティ形式の文法化に取り組む。 宮地は、日本語に特有な文法化された構造であるいわゆる形式名詞及び副助詞の文法化に取り組む。青木は、「のだ」の文法化の解明に取り組む。真田は、全体について量的分析について助言する。
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