研究課題/領域番号 |
16H03415
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研究機関 | 公立小松大学 |
研究代表者 |
岩田 礼 公立小松大学, 国際文化交流学部, 教授 (10142358)
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研究分担者 |
川口 裕司 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20204703)
大西 拓一郎 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語変化研究領域, 教授 (30213797)
中井 精一 富山大学, 人文学部, 教授 (90303198)
石 汝杰 熊本学園大学, 外国語学部, 教授 (50278149)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 言語学 / 言語史 / 言語地理学 / 地図の解釈 / 類型的定式化 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、言語地図の解釈をめぐって共同研究を進めた。9月開催の国際シンポジウムKomatsu Round-Table Conference on Geolinguistics(言語地理学に関する小松円卓会議)を研究成果発表の場とし、6月及び12月の研究会と併せて次の課題について検討した。 1)日本語、中国語、フランス語で共通に見られる語彙変化とその要因:時間詞、外来作物に対する命名法、言語外的要因の関与等 2)フランス言語地図(ALF)、日本言語地図(LAJ)の調査、制作をめぐる諸問題とLAJを使用した言語地図解釈をめぐる問題点 3)方言境界線付近で生起した諸現象 国際会議においては、言語地理学の発祥地であるフランスからA.Thibault教授(ソルボンヌ大学)、日本と類似した言語地理学の発展過程を有するタイからK.Tingsabadh教授及びS.Teerarojanarat教授(いずれもチュラロンコン大学)を招へいし、方言の伝播と変容、GIS情報を利用した地図の解釈等に関する講演をしていただいた。また、国内からは、福嶋秩子、松丸道夫、遠藤光暁、沢木幹栄の各氏を招へいし、GIS情報や統計的手法を使用した地図解釈の客観化、アジア地域全体を俯瞰した言語地理学的現象など、本研究に資する知見の提供をしていただいた。会議開催にあたっては、事前に電子版のプロシーディングズを作成し、ホームページを通じて参加者がすべての発表に関する情報を共有した。また、会議においては紙媒体のプロシーディングズを配布した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
言語地図の解釈をめぐる諸問題について、国際シンポジウムを開催することで、日本語、フランス語、中国語、タイ語等異なる地域を対象として時間をかけて踏み込んだ議論を展開しえた。シンポジウム開催以前にプロシーディングズを完成させ、ホームページ上で公開し、参加者は事前にすべての論文に目を通すこととしたことも議論の質的向上につながった。本年度はさらに2回の研究会において国際シンポジウムで話し合われたテーマについて議論を深めた。 国際シンポジウム提出論文は、国内外の出版社からの刊行或いは学術雑誌の特集号としての公刊を企図したが、引き受け手が見つからなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は国際シンポジウムの開催によって、言語地理学に関する知見の範囲が、地域及び研究手法の両面で大きく拡大したが、半面、様々な研究発表によってテーマが拡散した面があった。そのため、最終年度では、これまでの知見を体系的に整理するとともに、対照言語地図の作成を進める。研究のまとめとして、研究成果報告書を作成し、公開する予定である。
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