研究課題/領域番号 |
16H03442
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
川口 裕司 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20204703)
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研究分担者 |
海野 多枝 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 教授 (00251562)
黒沢 直俊 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (80195586)
秋廣 尚恵 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60724862)
Detey Sylvain 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (00548927)
杉山 香織 西南学院大学, 文学部, 准教授 (00735970)
近藤 野里 名古屋外国語大学, 世界共生学部, 講師 (70759810)
鳥越 慎太郎 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (20743511)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 第二言語習得 / 対照中間言語分析 / 言語コーパス |
研究実績の概要 |
各研究班の活動は以下の通りであった. ① フランス語研究班は,2017年度に東京外国語大学(秋廣),西南学院大学(杉山),名古屋外国語大学(近藤)の三ヵ所で学習者言語の調査を実施するため,被調査者数,新たなライティング課題,インタビュー課題(Detey),文字化プロセス等の検討を行った.さらに既存コーパスに基づく各自の研究課題について検討を始めた.② ポルトガル語研究班は,黒澤の指導下に鳥越がIPFCの共通プロトコルに基づくポルトガル語の調査項目暫定版を準備した.次に暫定版をパリ第8大学のCarvalho 教授に内容を精査してもらい,鳥越が調査項目最終版を作成した.③ 日本語研究班は,海野の指導下で,院生協力者が日本語の調査項目暫定版を準備し,東京学芸大学の斎藤教授からコメントをもらい最終版を作成した.④トルコ語研究班は,川口がTranscriberを用いたトルコ語話ことばコーパスの音声と文字の同期作業を開始した.またボアジチ大学のGuksel教授の協力を得て,トルコ語の調査項目を完成させた。 2016年度の顕著な研究業績としては,Deteyと川口がフランスでフランス語学習者言語に関する出版を行い,川口と海野が国際学術誌に論文を発表した.川口,Detey,杉山が台湾での国際会議に招待され研究発表を行った.このほか,イタリア人研究者らと共にワークショップ「言語コーパス:言語教育への応用可能性」を東京で開催し,フランスおよびトルコから研究協力者を招聘し,複数の講演会を東京,京都,博多で企画して他の研究者とも交流を行い,今後の協同研究の可能性について話し合った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年度の当初計画では,フランス語に関しては,東京外国語大学で既に学習者言語データの蓄積があるため,既存データを中心に分析を行う予定であったが,西南学院大学と名古屋外国語大学での調査準備に時間が割かれ,作文課題も検討が必要となったため,既存データに基づく研究は2017年度に行うこととした.他のポルトガル語,日本語,トルコ語では当初計画の通り,海外協力者から本計画を遂行するための助言を得ると同時に,IPFC 共通プロトコルに基づく調査項目を作成することができた.トルコ語話しことばコーパスに関しても,当初計画のように,Transcriberを用いてコーパスの音声と文字を同期させる作業が行われた。
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今後の研究の推進方策 |
各班と全体の計画は以下のようになる.①フランス語研究班は既存の話しことばコーパスと学習者言語コーパスを利用し,海外協力者から協力を得ながら,各自の専門領域(単音と韻律句,語彙,談話標識等)について分析を開始し成果報告を行う.②ポルトガル語研究班は,昨年度作成した調査項目を使って,東京外国語大学と他大学で予備的調査を開始し,留意事項や問題点等を検討する.③日本語研究班も,前年度に作成した調査項目を用いて,複数の大学で予備的調査を開始する。④トルコ語研究班は東京外国語大学とボアジチ大学で調査を開始する。トルコ語話しことばコーパスについては,タグ付け作業を継続する.本研究では各言語の学習者言語にみられる変異形を研究するが,同じく地域的な言語変異の研究状況も把握しておく必要があるため,フランスからCarpitelli教授を招聘し,地域言語と学習者言語の変異分析における類似性・共通性について論議しコメントをもらう.また今後の協働研究の可能性を模索する。この他にも研究協力者を招聘し,学習者言語コーパスと言語分析について意見交換を行う予定である。
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