研究課題/領域番号 |
16H03458
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
鳥飼 慎一郎 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 教授 (90180207)
|
研究分担者 |
溜箭 将之 立教大学, 法学部, 教授 (70323623)
高橋 脩一 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (80749614)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 司法英語 / アメリカ判例 / イギリス判例 / アメリカロージャーナル / イギリスロージャーナル / 契約書 / 英米法 / コーパス言語学 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクト遂行に必要不可欠となる2,900の司法英語コーパスを完成させた。サブコーパスの項目とそれぞれの語数の配分は以下の通りである。 U.S. Supreme Court約100万語、U.S. Court of Appeal約100万語、U.S. District Court約100万語、U.S. State Courts (North East region)約150万語、U.S. State Courts (South region)約150万語、U.S. Law Journals約600万語、U.K. Supreme Court約300万語、Court of Appeals約150万語、High Court約150万語、U.K. Law Journals約600万語U.S. Contracts約500万語 サブコーパス構築に当たっては、アメリカ司法英語とイギリス司法英語の比率をどうするのか、両国のサブコーパスにどのレベルのあるいはどの地域の司法英語を含めるのか、ロージャーナルの選定をどうするのか、など現実的な問題が数多く持ち上がったが、よりバランスの取れた現実の司法英語の使用実態を反映させるコーパスにすべきであるという観点から、上記の配分に落ち着いた。 これらの司法英語コーパスは全てスケッチエンジンにアップロードしてあり、いつどこからでもアクセス可能な状態になっている。上記司法英語コーパスをアメリカ司法英語とイギリス司法英語とに大別した理由は、両国の法制度の歴史が大きくことなり、一方は大陸法に属して法令を重視し、他方はコモンローシステムに属し、これまで積み重ねた判例を初めとする歴史的事実を重視するためであり、アメリカ英語とイギリス英語との歴史的際なども大きく関係しているからである。その点をしっかりと踏まえて分析を行わない司法英語辞書は、現実の辞書使用において使い物にならない可能性が高いと判断したからである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を遂行するために必要不可欠な2,900万語におよぶ司法英語コーパスが完成したことが大きな理由である。コーパス構築に当たっては、現在の司法英語の実情をどのように忠実にコーパス反映させるのかが大きな課題となった。よりバランスの取れた実態に近い下位分類をどう設定するのかを決めるのにかなりの議論を費やした。また、実際に司法英語をダウンロードするに当り、どのようなファイル名を付与するのか、どのロージャーナルを使用するのか、それらをどのような順番でダウンロードするのか、といった極めて現実的な問題に直面したが、それらを一つ一つ解決して今日に立っている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、完成した司法英語コーパスを使って、以下の4点を中心に分析を行い、その結果を辞書の形に流し込んでいく作業が中心となる。 1)一般語義と専門語義を併せ持つ一般的な語 2)司法英語独特の類義語群 3)専門的な意味の差異によって使い分けられる法律用語や類似表現 4)専門用語をディスコース内に導入するために使われる基本的な動詞の用法 完成させた司法英語辞書がより学習者のニーズに耐えられるものとするために、何を学習者は辞書に期待するのか、何をどのように記述すればより有用な辞書となり得るのかをしっかりと検証してゆきたい。そのためには、司法英語の学習者の意見やコメントを直接聞く機会も設けるつもりである。
|