研究課題/領域番号 |
16H03461
|
研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
田中 良英 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (20610546)
|
研究分担者 |
加藤 玄 日本女子大学, 文学部, 教授 (00431883)
割田 聖史 青山学院大学, 文学部, 教授 (20438568)
津田 博司 筑波大学, 人文社会系, 助教 (30599387)
長森 美信 天理大学, 国際学部, 教授 (50412135)
桑山 由文 京都女子大学, 文学部, 教授 (60343266)
苑田 亜矢 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 教授 (80325539)
杉山 清彦 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80379213)
大原 志麻 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (80515411)
秋葉 淳 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (00375601)
光永 雅明 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (20229743)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 史学一般 / 移動 / 近世 / アイデンティティ |
研究実績の概要 |
17世紀から19世紀第3四半期の時期を中心に「人の移動と接触」の実態と影響の包括的理解を試みる本研究においては、前半に当たる平成28~29年度の研究活動の過程で生じた研究対象・視角の拡張に対応するべく、すでに連携研究者として参画していたメンバーの内2名を、平成30年度に研究分担者に更に変更しつつ、うち1名から、これまでやや考察が手薄であったユーラシア南部での「人の移動」に関し、平成31年1月の個別研究会において、近世オスマン帝国人捕虜と彼らの残した虜囚記についての分析成果の発表を得た。 また平成30年6月及び平成31年3月の個別研究会では、後者の機会における年度総括のほかに、前半の研究活動で目標としていた、近世ユーラシア世界の「人の移動」の特徴に関する中間的総括を進め、一旦の仮説については、試論として、平成31年1月に研究代表者による紀要論文の形で発表することができた。そこでは当該の時期・地域における特徴として、国家形成の進展と広域的秩序の再編に伴う強制的・半強制的性格を帯びた「人の移動」の顕在化を強調しているが、令和元年5月に予定されている第69回日本西洋史学会大会においては、そうした全般的特徴に関し、大清帝国及び朝鮮半島の具体的事例により例証する構図を取って、小シンポジウムの形で成果の一部を発表する予定である。 なお、こうした近世における強制的・半強制的移動を相対化して捉える意図のもと、それ以前にユーラシア世界を広域的に連結していたモンゴル帝国の歴史的意義と遊牧民の生態との理解を深めるべく、平成30年8月末には現在のモンゴル国の首都であるウランバートル市内の博物館・史跡を見学したほか、モンゴル帝国の本拠地があったとされるカラコルム(ハラホリン)までの移動を体験するとともに、現地の博物館・史跡も調査した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前半の平成28~29年度に遂行する予定でありながら遅れていた、近世ユーラシア世界における「人の移動」の時期的特徴に関する中間的総括については、平成30年度中に一応の結論に達し、研究代表者による紀要論文の形で発表することができた。また、更なる検証を目的として、令和元年5月に予定されている第69回日本西洋史学会大会での小シンポジウム組織を決定し、一定の準備を進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
過去3年間の成果として得られた中間的総括の更なる精緻化を目的として、メンバー各人が従来通り個別事例研究を深化させるとともに、隣接する新たなテーマについても調査を展開し、情報の拡張を試みる予定。それら情報の共有と議論の場として、年2~3回の個別研究会を開催する。 加えて、すでに確定している日本西洋史学会大会の小シンポジウムを始め、これまでに得られた研究成果の発表についても積極的に取り組むとともに、それらの機会において生じる他研究者との討論を活かし、近世ユーラシア世界における「人の移動」の特徴に関する理解を一層深める意図である。最終的には公開講座や図書の刊行の形で、より広い範囲に発信できればと考えており、上記の個別研究会においてはそれらの検討・準備も行う。
|