研究課題/領域番号 |
16H03475
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
丹羽 謙治 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (40264460)
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研究分担者 |
金井 静香 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (30295232)
佐藤 宏之 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (50599339)
深瀬 浩三 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (50631884)
高津 孝 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (70206770)
日隈 正守 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (70260750)
山内 利秋 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (20351942)
屋良 健一郎 名桜大学, 国際学部, 上級准教授 (40710158)
山田 浩世 沖縄県立芸術大学, 付置研究所, 研究員 (00626046)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 資料防災 / 目録化 / データベース / 史料ネット |
研究実績の概要 |
前年度同様、大武コレクション、谷口家資料などの整理、目録化の準備を推し進めた。 資料保存の重要性を一般の人に理解してもらうために、新年度の開始まもない4月22日(土)に鹿児島県民交流センターにおいて、「フスマから歴史を取り出してみよう」ワークショップを宮崎史料ネットとの共催で開催した。小学生から学生、社会人30名が襖から資料を取り出す作業に従事した。NНKニュースや南日本新聞のコラムにも取り上げられ、好評であった。宮崎史料ネットとの交流が進み、隣り合った県の平時・災害時の協力体制の必要性を認識することとなった。一方、資料レスキューの要請が年度の途中にはいった。鹿児島市磯にある敬天舎の資料の保全である。敬天舎は旧制第七高等学校の初代校長である岩崎行親の教え子たちが設立した儒教精神の涵養を行う修養団体で、戦前から活動を行っている。かつては床次竹二郎関係の資料も存在したという。それは既に他機関に寄贈されているが、戦前の書籍と活動の資料を一括保存することになった。まず、現地の状況を把握したあと、多数の資料・書籍を段ボールに詰め、大学のプロジェクト研究室に搬入、その後鹿児島大学附属図書館の施設を利用して少しずつ二酸化炭素による燻蒸を行うこととなった。少しでも早く全体を把握し保存策を検討する必要があったことから他の資料の調査・整理を一旦中止し、敬天舎資料の整理に集中した(そのため、計画していた資料集の発行を一年延ばすこととし、予算の繰り越し申請を行った)。 この他にも、出水市麓地区、徳之島、指宿市のT家の資料、南九州市のI神社の資料の調査や事前調査などを行う機会があった。 なお、繰り越した予算によって平成30年度に丹羽謙治編『鹿児島大学農学部 谷口家文書 谷口熊之助来簡集(一)』の作成を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宮崎と沖縄の研究者3名を分担者に加え、体制を整えて資料調査や企画が行えることになった。特に宮崎と鹿児島との提携によって、市民参加型で街づくりの要素を取り入れて活動している宮崎史料ネットを先行モデルとしながら、鹿児島の特殊性を加味した活動を模索することができるようになったことが大きい。一方、島嶼地区は頻繁に調査に出向くことができないなか、沖縄の2名が徳之島での資料の調査に出向き、活動をカバーしてくれている。 ワークショップを宮崎史料ネットの強力なサポートを得て、実施することができ、史料ネットの鹿児島での認知度は少しずつではあるが上がっててきているといえる。 ただし、当初計画していた鹿児島湾沿岸の防災対策についてはまだ準備段階であり、実施には至っていない。今後自治体と協力のもと、体制づくりをしていくことになる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、途中で一時中断した大武コレクション、谷口家文書等の整理を精力的に行いたい。また、宮崎史料ネットとの協力体制および沖縄県の研究分担者と連携を強化しながら、まだ眠っている史料の発掘、調査、整理、目録化を行い、所蔵者や所蔵機関との連携を図りながら史料保存を行っていく。 科研費を利用して裏打ちした文書を地域に還元するため、文書の解読作業を通して得られた知見を公開するシンポジウムないしは講演会を企画したい。また、一般にむけて、資料保存の実践的なワークショップ、とくにまだ実現していない保存技術の習得に向けた講習会を実現したいと考えている。
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