研究課題/領域番号 |
16H03476
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
豊見山 和行 琉球大学, 法文学部, 教授 (40211403)
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研究分担者 |
知名 定寛 神戸女子大学, 文学部, 教授 (00163725)
赤嶺 守 琉球大学, 法文学部, 教授 (20212417)
麻生 伸一 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 講師 (30714729)
屋良 健一郎 名桜大学, 国際学部, 准教授 (40710158)
真栄平 房昭 琉球大学, 教育学部, 教授 (50183942)
深澤 秋人 沖縄大学, 法経学部, 准教授 (50612785)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 琉球史料学 / 尚家文書 / 冠船 / 日々琉行之記 / 漂流民 / 档案史料 |
研究実績の概要 |
研究初年度のため、第一回目(2016年5月28日)は、科研の目的と今後の研究計画全体について、および研究代表者から「琉球史料(17-19世紀)の全体的布置構造(試論)」として琉球史料学の基礎的な論点整理の報告を行った。ついで、各分担者による研究課題の報告を受けた。①屋良健一郎(名桜大)は「中近世の琉球・日本関係文書の研究」の現状と今後の調査項目について、②深澤秋人(沖縄国際大)は「琉球藩邸と東京尚家邸の「役所」について―尚家文書1041号~1069号を中心に―」について、③麻生伸一(沖縄県立芸術大)は「国家儀礼関係文書の研究」について、④知名定寛(神戸女子大)は「琉球仏教史関係史料の調査・蒐集」について、⑤真栄平房昭(琉球大)は「尚家文書調査者の足跡」について、⑥赤嶺守(琉球大)は「清代の琉球関係文書の全体的紹介」を行い、討議を深めることで今後の研究課題を明瞭にすることができた。第2回目(同年11月5日)には、①豊見山和行は「両先島御検使日記(1844年)に見る宮古島・多良間島の諸相」、②麻生伸一「冠船御物奉行那覇詰日記にみる寅冠船の諸相」、③知名定寛「福岡県小郡市光明寺蔵 清原競秀『日々琉行之記』について」、④深澤秋人「琉球藩邸の「東京書役」と鹿児島琉球館の書役」等の報告があった。第3回目(2017年3月21日)には、①豊見山和行「琉大附属図書館島袋源七文庫蔵『断片綴(針竿関係)』の全体的紹介と二、三の問題について」、②深澤秋人「「在勤中日記」収録文書と同時代史料」、③麻生伸一「鹿児島大学附属図書館玉里文庫所蔵「琉球冠船記録」と尚泰冊封」について、④知名定寛「福岡県小郡市三沢光明寺蔵 清原競秀「日々琉行之記」の注目記事」について、⑤屋良健一郎「種子島への琉球船・唐船の漂着」、⑥赤嶺守「清代琉球漂流民の朝鮮漂着と档案史料」の各報告が行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の想定した琉球史料学における史料範囲が広いことが各分担者の発表によって明らかになった。特に、知名氏によって旧来知られることのなかった未発掘の日記史料の紹介と分析、およびこれまで全く活用されることのなかった尚家文書や档案史料に新たな視点からの分析が行われたことは着実な成果があげられつつあることを示すものである。
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今後の研究の推進方策 |
琉球史料学の対象となる古文書・日記類は膨大ではないが、かといって決して稀少でもない。尚家文書は約1,300点あるが、それらをすべて紹介・分析することは本科研の期間中では困難だが、本科研ではその中から重要な文書を取捨選択することは可能である。また、他の古文書も同様に特徴のあるものを分析する方法を初年度から採っており、その研究方法を変更する必要はない。むしろこの方法論にもとづき一層、堅実に調査・分析することが次年度以降においても必要であることが明らかとなった。
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