研究課題/領域番号 |
16H03477
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
横内 裕人 京都府立大学, 文学部, 准教授 (50706520)
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研究分担者 |
馬場 久幸 佛教大学, 公私立大学の部局等, 非常勤講師 (10620693)
須田 牧子 東京大学, 史料編纂所, 助教 (60431798)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高麗版 / 大蔵経 / 一切経 / 大般若経 / 宗氏 / 多久頭魂神社 / 金剛院 / 対馬 |
研究実績の概要 |
28年度は、Ⅰ対馬での経巻調査とⅡ島外での高麗版経巻の調査を行った。 Ⅰ対馬での経巻調査は、(1)多久頭魂神社(対馬市豆酘)所蔵の高麗版大蔵経1016冊と(2)金剛院高麗版大般若経を対象とした。 (1)は、前回の科研においてとり漏らしていた書誌的なデータについて補足し、下記の2点について新たな調査を行った。①版面については、Ⅱの高麗版大蔵経調査結果と比較した。②料紙については、特徴的な紙を顕微鏡による調査を行うとともに、文献史料や他の経典との比較を行った。以上の調査成果と対馬藩作成の照合帳簿等を参照し、本経巻が15世紀後半の印刷になるものと結論づけた。これと平行して高麗版大蔵経と一緒に伝来した和版大般若経の詳細な書誌調査を行った。また韓国の大蔵経研究者からの情報を収集し、多久頭魂神社本と同じ体裁の経巻が所在することを確認した。その結果、本経巻が、宗貞盛・成職父子の寄進になることが判明した。これらの成果を詳細な書誌目録にまとめた。この調査結果および目録は、28年度国文化審議会において審議され、「高麗版一切経附大般若経」を国指定文化財に指定するよう答申を受けた。 (2)は、次年度本格調査を行う金剛院高麗版大般若経について予備調査を行い、調査に必要な項目の確認、所有者との協議を行った。 Ⅱ島外での高麗版調査は、増上寺(東京都港区)および相国寺(京都市上京区)において、朝鮮世祖代印刷の大蔵経について版面・体裁等の調査を行い、比較調査のためのデータを蓄積した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度計画はほぼ達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
調査対象としている経巻類を保管している長崎県立対馬歴史民俗資料館が29年度以降、数年間休館となることから、29年度以降の調査体制を大幅に見直す必要がでてきた。これについては、九州国立博物館と連携して、調査が継続できるように計画を見直した。29年度は、対馬において豆酘金剛院高麗版大般若経を、また豊玉町仁位東泉寺・元版五部大乗経について、九州国立博物館において調査を行う予定である。
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