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2017 年度 実績報告書

史料学的検討を重視した『延喜式』の基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16H03485
研究機関国立歴史民俗博物館

研究代表者

小倉 慈司  国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (20581101)

研究分担者 早川 万年  岐阜大学, 教育学部, 教授 (10218555)
清武 雄二  国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 特任助教 (50753737)
稲田 奈津子  東京大学, 史料編纂所, 助教 (60376639)
酒井 清治  駒澤大学, 文学部, 教授 (80296821)
中村 光一  上武大学, ビジネス情報学部, 教授 (30237416)
仁藤 敦史  国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (30218234)
三上 喜孝  国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (10331290)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード延喜式 / 書写系統 / 版本書入 / 三条西家 / 写本研究
研究実績の概要

昨年度に調査・紙焼収集がかなわなかった無窮会専門図書館が、今年度も閲覧再開が見込めない状況であることが明らかになったことにより方針転換を図り、同館所蔵『延喜式』写本紙焼写真所蔵者から協力を得るとともに、校合書入れを有する版本の捜索・紙焼写真収集に力を注いだ。調査・収集した主な『延喜式』写本は尊経閣文庫本、静嘉堂文庫所蔵西洞院時慶書写本、三手文庫泉亭本、天理大学附属天理図書館吉田文庫『上延喜格式表』、國學院大学図書館所蔵三条西家旧蔵神名帳、版本は岐阜大学図書館度会義利書入れ版本、大和文華館鈴鹿文庫所蔵清岡長親書入れ版本、刈谷市立図書館村上文庫所蔵神谷元平書入れ版本である。その他、『延喜式』注釈書として京都大学文学部所蔵『上延喜式表』、天理大学附属天理図書館吉田文庫所蔵『延喜式神名帳頭註』、また関連史料として、同館吉田文庫所蔵の近世吉田家蔵書目録、宮内庁書陵部図書寮文庫所蔵『郷薬救急方』、大阪市立大学福田文庫所蔵『政事要略』等を調査収集した。このうち西洞院時慶書写本は現所在不明の三条西実隆抄出本の江戸初期転写本として貴重であり、清岡長親書入れ版本は現在宮内庁書陵部に蔵されている壬生本に欠けている巻1~9のうち、巻1~5の内容を校異の形で伝えるものとして重要であることが判明した。これらを踏まえ、まず巻5を主な考察対象として諸本の書写系統について比較検討し明らかにした。これらの成果は論文の形で公表した他、九州史学会において研究代表者が公開講演を行なっている。
また『延喜式』研究に関心を持つ研究者や大学院生にも参加を呼びかけて,8月に国立歴史民俗博物館にて、2月に宮内庁正倉院事務所および奈良文化財研究所にて公開研究会を開催した。なお、8月の公開研究会では校訂方針についての検討を行ない、今後の方向性を定めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度に耐震工事により調査・紙焼収集がかなわなかった無窮会専門図書館について、情報収集に努め、今年度も閲覧再開が見込めない状況であることが明らかになったことにより早期に方針転換を図り、同館所蔵『延喜式』写本紙焼写真所蔵者から協力を得る一方で、校合書入れを有する版本の捜索・紙焼写真収集に力を注いだ。その結果として、紙焼写真収集の遅れを取り戻すことができ、現在所在が明らかになっている主だった『延喜式』写本の調査をほぼ終えるとともに、現在所在不明である写本との校合書入れを有する版本の存在を発見したことにより、近世写本の大まかな書写系統図を描くことができた。
これらの成果は論文等の形で発表し、また公開講演に招致され、学界に対して広く成果発信を行なうことができた。
昨年度に課題としてあげた近世における『延喜式』研究の調査や朝鮮半島薬物の調査についても、上述の版本調査・『延喜式』注釈書収集、『郷薬救急方』の収集などにより成果を挙げることができた。

今後の研究の推進方策

今年度までで重要写本の調査収集はほぼ終えることができたため、今後は現所在不明の写本出現の可能性にも目を配りつつ、今年度、目星をつけた写本系統についての検討を巻5以外にも及ぼして、さらなる検証を行なうこと、また流布本系統とは別系統にあたる九条家旧蔵本の性格解明を進めることに努めていく。
補助業務や謝金等も活用して、具体的校訂作業を加速化していきたい。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件) 図書 (6件)

  • [雑誌論文] 古代における長鰒(熨斗鰒)製造法の研究-加工実験・成分分析による実態的考察-2018

    • 著者名/発表者名
      清武雄二
    • 雑誌名

      国立歴史民俗博物館研究報告

      巻: 209 ページ: 19-41

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 倭国における政治空間の成立-都市と王権儀礼-2017

    • 著者名/発表者名
      仁藤敦史
    • 雑誌名

      唐代史研究

      巻: 20 ページ: 105-128

  • [雑誌論文] 『延喜式』にみえるアワビに関する復元資料-一人分の長鰒貢納量-2017

    • 著者名/発表者名
      清武雄二
    • 雑誌名

      歴博

      巻: 204 ページ: 20-23

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 『延喜式』に見える貢納食材とその加工法2017

    • 著者名/発表者名
      清武雄二
    • 学会等名
      第3回日本語の歴史的典籍国際研究集会
  • [学会発表] 古代文献史料研究の課題―『延喜式』を中心に―2017

    • 著者名/発表者名
      小倉慈司
    • 学会等名
      九州史学研究会大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 高崎の古社を訪ねて―「神社」でたどる郷土の歴史―2017

    • 著者名/発表者名
      中村光一
    • 学会等名
      高崎郷土史会文化講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] 『延喜式』からみた陵墓の体系 陵墓と前方後円墳2017

    • 著者名/発表者名
      仁藤敦史
    • 学会等名
      文部科学省「情報ひろばラウンジ」講演会「『延喜式』から読み解く古代の社会と文化」
  • [学会発表] 古代の長鰒を復元する 『延喜式』記載の貢納品研究2017

    • 著者名/発表者名
      清武雄二
    • 学会等名
      文部科学省「情報ひろばラウンジ」講演会「『延喜式』から読み解く古代の社会と文化」
  • [学会発表] 常胤が献じたご馳走2017

    • 著者名/発表者名
      小倉慈司
    • 学会等名
      千葉氏フォーラム 千葉常胤の元旦の祝膳 現代につながる鎌倉時代の「食」文化
  • [図書] 日本古代史の方法と意義2018

    • 著者名/発表者名
      新川登亀男編
    • 総ページ数
      862(内192-217)
    • 出版者
      勉誠出版
    • ISBN
      978-4-585-22205-7
  • [図書] 史料・史跡と古代社会2018

    • 著者名/発表者名
      佐藤信編
    • 総ページ数
      566(内164-192)
    • 出版者
      吉川弘文館
    • ISBN
      978-4-642-04645-9
  • [図書] 古代史料を読む 上 律令国家篇2018

    • 著者名/発表者名
      佐藤信・小口雅史編
    • 総ページ数
      322(内225-242)
    • 出版者
      同成社
    • ISBN
      978-4-886-21783-7
  • [図書] 日本古代交流史入門2017

    • 著者名/発表者名
      鈴木靖民・金子修一・田中史生・李成市編
    • 総ページ数
      592(内455-466)
    • 出版者
      勉誠出版
    • ISBN
      978-4-585-22161-6
  • [図書] 壬申の乱の時代―美濃国・飛騨国の誕生に迫る2017

    • 著者名/発表者名
      岐阜県博物館編
    • 総ページ数
      75(内4-7)
    • 出版者
      岐阜県博物館
  • [図書] 訳注日本史料 延喜式 下2017

    • 著者名/発表者名
      虎尾俊哉編
    • 総ページ数
      1512(内2-43,476-539,686-93,1186-1205他)
    • 出版者
      集英社
    • ISBN
      978-4-08-107010-0

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公開日: 2018-12-17  

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