研究課題/領域番号 |
16H03503
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
上條 信彦 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (90534040)
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研究分担者 |
宇田津 徹朗 宮崎大学, 農学部, 教授 (00253807)
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
田中 克典 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (00450213)
田崎 博之 愛媛大学, 埋蔵文化財調査室, 教授 (30155064)
高瀬 克範 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (00347254)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 考古学 / 弥生 / イネ / 遺跡 |
研究実績の概要 |
①佐藤敏也出土米コレクションの分析と炭化米形成過程の研究:東日本を中心とする23遺跡2700粒の出土イネの計測を実施したほかDNA分析のためのマーカー作成などの準備を行った。これにより日本を代表するイネ標本をもつ本コレクションのほぼすべてのデータを集積したことになる。そのほか、X線CT装置を通じて炭化米塊を非破壊で計測・内部構造の観察を試みた。これにより、イネの収納状態といった貯蔵方法が解明できる。また炭化米の焼成実験を行い、各被熱条件下におけるX線CTによる内部構造の変化および反射率の測定を行い、出土米の被熱温度の推定につながるデータを蓄積した。 ②廻堰大溜池遺跡の試掘調査と堆積相の検討:放水時の湖底踏査の結果、垂柳遺跡など北東北における本格的な水稲農耕段階の直前である五所式期の遺物散布地点を発見したほか、構造改善以前の自然地形を利用した近世から近代の水田遺構を発見した。そのため、これらの分布範囲測量と空中測量による微地形調査を実施した。秋には試掘調査と水田層の有無確認のためのボーリング調査を実施し、上記地点の範囲が確定できたほか、流路沿いの平坦面において水田層の堆積に類似する層序を確認した。この層序の土壌については、宮崎大学にてプラント・オパール分析を進めている。 ③砂沢遺跡資料の圧痕・堆積相の調査:協定を結んでいる弘前市教育委員会の協力のもと、弥生時代の水稲稲作北限域である砂沢遺跡出土土器の圧痕観察、および八戸市の弥生遺跡の圧痕観察を実施し、イネの圧痕を発見し、シリコンによるレプリカを作成、電子顕微鏡による観察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた出土イネの形態・DNA分析が進行し、ほぼ完了したほか、土器圧痕調査においても稲作導入期の確実なイネ圧痕を見出すことができた。試掘調査などにより次年度の本発掘調査のたの事前準備が整えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
佐藤敏也コレクションは昭和期までの資料が多いため、ここ30年間に蓄積されたイネ種子のデータを蓄積する必要がある。そのために東日本を中心とする全国の自治体に分析の協力を仰ぎ、許可の出たものから分析を行っていく。また、本発掘に際しては悪天候などの現地の状況により発掘が難しい場合がある。それに備えて、同時期の他遺跡についても踏査を行い発掘調査が可能かどうか検討していく。
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