| 研究課題/領域番号 |
16H03505
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| 研究機関 | 東京大学 |
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研究代表者 |
熊木 俊朗 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (20282543)
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| 研究分担者 |
福田 正宏 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (20431877)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | 考古学 / 擦文文化 / オホーツク文化 / アイヌ文化 / 文化接触 |
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| 研究実績の概要 |
１．北海道北見市における擦文文化集落遺跡の発掘調査
擦文文化の居住形態に関するデータを収集するため、北見市の大島遺跡群（大島1遺跡・大島2遺跡）で調査を実施した。この遺跡群は、海に面した高位段丘上という擦文文化の集落としてはやや特異な場所に立地する集落遺跡であり、河川沿いの低地や砂丘にある集落とは異なる性格を有していた可能性が考えられている。昨年度から発掘を継続中の大島２遺跡では、４号竪穴を中心に発掘調査を実施し、竪穴床面までの掘り下げをほぼ終了した。調査の成果は以下のとおりである。①4号竪穴の大きさは一辺6～7mで、二基のカマドを有する大型の住居跡である。②竪穴は廃絶時に火を受けており、屋根材と見られる炭化材が壁と直交方向に検出された。③出土した土器から、廃絶時期は擦文後期～晩期（11～12世紀頃）とみられる。④出土した紡錘車の中央の穴には軸棒と見られる炭化した木材が遺存していた。一方、本年度が初の発掘調査となる大島1遺跡では、発掘に先立ち地形測量調査を実施し、35基の竪穴について地形測量図を作成した。また、そのうちの一軒の竪穴（1号竪穴）について発掘調査に着手した。時間の都合上、発掘は表土層の掘り下げに止めたため、竪穴の時期や内容の詳細は判明していないが、以下の情報が得られた。①1号竪穴も廃絶時に火を受けた焼失住居の可能性が高い。②表土中の出土遺物からすると擦文文化期もしくは続縄文前半期の竪穴の可能性が考えられる。
２．擦文文化に関連する諸文化の資料調査
擦文文化に併行する時期（鉄器時代）、及びそれよりやや遡る古金属器時代の極東ロシアの諸文化の資料について、ハバロフスク地方郷土誌博物館が所蔵する資料を対象として、資料調査を実施した。また、東京大学常呂実習施設が所蔵する北見市トコロチャシ跡遺跡群のオホーツク文化関連資料について、未報告資料の整理作業を進めた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定した北見市大島遺跡群の調査は、発掘調査・測量調査ともにおおむね計画通りに進捗している。発掘調査に関しては、本研究課題の実施期間全体で3軒の竪穴の完掘を予定しているが、現在までに1軒の調査が完了し、2軒についても計画通り調査が進捗している。測量調査についても、研究課題の実施期間全体で大島1遺跡に残る竪穴の凹み169基のうちの1/3程度について地形測量をおこなう予定であるが、現在までに35基の測量を完了しており、おおむね計画通り進捗している。出土資料の分析については、樹種同定や放射性炭素年代測定に関しては予定よりやや遅れているが、遺構の図化や遺物の整理作業については予定どおり進捗しており、来年度以降の発掘調査計画を当初の計画に従って進めることが可能な状況となっている。
発掘調査以外の資料調査やデータ収集等については、極東ロシアでの資料調査を実施し、国内の未報告資料の整理作業を進めるなど、こちらもほぼ計画通り進捗している。
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| 今後の研究の推進方策 |
１．大島２遺跡の発掘調査及び大島１遺跡の測量調査
大島２遺跡の発掘調査に関しては、4号竪穴の発掘を平成30年度に完了させる。5号竪穴の調査もそれと並行しておこない、平成31年度までの完了を目指す。大島1遺跡の測量調査については、平成31年度までに竪穴群全体の1/3に相当する範囲の地形測量を完了させる。調査データの整理（遺構や遺物の図化など）は平成31年度までにおおむね完了させるとともに、樹種同定や年代測定等の自然科学分析を進める。
２．調査報告書の刊行
研究課題の中間報告として、東京大学常呂実習施設が所蔵する北見市トコロチャシ跡遺跡群のオホーツク文化関連資料について未報告資料の整理作業を完了し、平成30年度に同資料関連の調査報告書を刊行する。さらに平成32年度には、大島遺跡群の発掘調査と他の資料調査の成果などを総括し、擦文文化の居住形態やオホーツク文化との文化接触に関する最終的な調査報告書を刊行する。
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