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2018 年度 実績報告書

海浜部在地墓制にみるヤマト政権と在地勢力の相互関係の学際的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16H03506
研究機関岡山大学

研究代表者

清家 章  岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (40303995)

研究分担者 菊地 芳朗  福島大学, 行政政策学類, 教授 (10375347)
米田 穣  東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
福永 伸哉  大阪大学, 文学研究科, 教授 (50189958)
杉井 健  熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (90263178)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード古墳時代 / 海辺の古墳 / 岩陰遺跡 / 古人骨
研究実績の概要

2018度は、和歌山県田辺市磯間岩陰遺跡出土資料の補足的調査と、研究成果報告書刊行にむけて考古学班は製図作業と原稿執筆作業を行っている。研究成果報告書は報告篇と分析考察編の2分冊を予定している。報告篇の原稿は70%完成している。また新たに磯間岩陰遺跡の3次元計測も実施し、1969年当時の調査図面との対応関係も整理している。
人類学班は動物骨のC14分析・炭素窒素同位体を実施し、人骨の海洋リザーバー効果の補正にトライしている。今後エナメル質の炭素窒素同位体分析を行い、幼少期の食物や幼少期と成人期の間に移動があったかどうかを調査する予定である。古人骨のDNA分析を実施し、1号埋葬1号人骨と2号人骨の核DNA分析まで終了し、現在2号埋葬の分析に取りかかっている。昨年度から動物骨の調査も始まり、新たに出土貝類あるいは出土貝製品の分析も実施した。これらは2019年度発行予定の分析考察編にその成果が反映される予定である。
磯間岩陰遺跡以外では、岡山県飯盛山東1号墳古墳の調査を実施し、墳丘測量調査と石棺の発掘調査を行った。本古墳は4世紀から5世紀の小古墳であるが、人骨が過去に出土し、磯間岩陰遺跡の比較検討材料として重要である。2017年度に測量調査を行った鳶尾塚古墳については、2018年度に発掘調査を実施予定であったが、これを延期し、電気探査などの調査を実施した。本格的発掘調査を2019年度に実施する予定である。各地域における海辺の古墳分析は東北・山陰・九州で順調に進んでいる。
2018年5月、明治大学で開催された日本考古学協会総会で磯間岩陰遺跡に関するセッションを開催し、4本の研究発表を行い、現状における研究成果を紹介した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の主要な研究対象となっている磯間岩陰遺跡については研究成果報告書の報告篇原稿が70%完成している。この点はおおむね順調に進展していると評価できる。同遺跡の3次元測量も終了しこの原稿も完成している。研究の進展に伴って、古人骨のDNA分析やエナメル質の分析が新たに加わり、動物骨や貝類分析も新たに実施するなど、研究計画になかった分析を多くこなしている。これらの点は計画以上の進展を見ていると言って良い。ただ、岡山県鳶尾塚古墳の発掘調査が次年度に先送りされた点は計画より遅れている。その代わり飯盛山東1号墳の発掘調査を行い、磯間岩陰遺跡との比較資料を収集している。以上のことを総合的に評価するとおおむね順調に進展していると評価できる。

今後の研究の推進方策

磯間岩陰遺跡の研究報告書、報告篇を2019年度中に発行する。分析・考察篇は、少なくとも現在進行中の分析を夏前に完成させ、原稿を執筆する。岡山県鳶尾塚古墳の発掘調査を実施し、分析考察編の成果に反映させる。2019年度は最終年度であるので、上記の報告書以外に積極的に研究成果を公開するように努める。
分析考察篇では、「東日本における古墳時代無墳丘墓制の成立と展開」「磯間岩陰遺跡における被葬者親族関係再考・石棺考」「山陰地方の海辺の埋葬」「有明海沿岸の古墳」「磯間岩陰遺跡から確認された貝類遺体」「動物遺存体と骨角製品の素材」「磯間岩陰遺跡の変遷と周辺の遺跡」「磯間岩陰出土の漁労具について」「骨鏃の形態・製作法」「磯間岩陰遺跡出土人骨における炭素・窒素同位体分析と放射性炭素年代測定」「磯間岩陰遺跡出土古人骨のDNA分析」「磯間岩陰遺跡古人骨の形態学的分析」(いずれも仮題)を予定している。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 集落と古墳の関係についての理論的整理2019

    • 著者名/発表者名
      杉井 健
    • 雑誌名

      先史学・考古学論究

      巻: 4 ページ: 201-217

  • [雑誌論文] Mounded Tomb Building during the Kofun Period:Location and Landscape2018

    • 著者名/発表者名
      Akira SEIKE
    • 雑誌名

      Burial Mounds in Europe and Japan Comparative and Contextual Perspectives

      巻: なし ページ: 110-117

  • [雑誌論文] 骨考古学からせまる社会の複雑化-人間行動生態学の視点-2018

    • 著者名/発表者名
      米田穣
    • 雑誌名

      季刊考古学

      巻: 143 ページ: 61-64

  • [雑誌論文] 古墳時代の東北と北関東―福 島と栃木の比較を中心にー2018

    • 著者名/発表者名
      菊地芳朗
    • 雑誌名

      栃木県考古学会誌

      巻: 39 ページ: 1-19

  • [学会発表] 「磯間岩陰遺跡の概要と意義」2018

    • 著者名/発表者名
      清家章
    • 学会等名
      第84回日本考古学協会総会
  • [学会発表] 古墳時代の女と男~古墳被葬者に見るジェンダー2018

    • 著者名/発表者名
      清家章
    • 学会等名
      第8回山口大学考古学研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 学際的・国際的共同研究による古代吉備研究の可能性2018

    • 著者名/発表者名
      清家章
    • 学会等名
      文明動態学研究センター キックオフ・シンポジウム
    • 国際学会
  • [学会発表] 「社会変化とモニュメント」2018

    • 著者名/発表者名
      清家章
    • 学会等名
      歴博国際シンポジウム 日本の古墳はなぜ大きいのか-古代モニュメントの比較考古学-
    • 国際学会
  • [学会発表] 集落と古墳-その関係についての理論的整理と1つの事例-2018

    • 著者名/発表者名
      杉井 健
    • 学会等名
      九州前方後円墳研究会第21回鹿児島大会
  • [学会発表] 和歌山県磯間岩陰遺跡出土人骨の形態学的・古病理学的研究2018

    • 著者名/発表者名
      安部みき子・長岡朋人・米田穣
    • 学会等名
      日本考古学協会第84回総会
  • [学会発表] 骨コラーゲンの炭素・窒素同位体比からみる古墳時代の食生活2018

    • 著者名/発表者名
      米田穣
    • 学会等名
      第124回日本解剖学会全国学術集会
  • [学会発表] 古墳分布北縁地域における後期大型前方後円墳の確認―福島県いわき市塚前古墳の測量調査より―2018

    • 著者名/発表者名
      菊地芳朗
    • 学会等名
      日本考古学協会第84回総会
  • [図書] 『埋葬からみた古墳時代 女性・親族・王権』2018

    • 著者名/発表者名
      清家章
    • 総ページ数
      265
    • 出版者
      吉川弘文館
    • ISBN
      9784642058650

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公開日: 2019-12-27  

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