研究課題/領域番号 |
16H03512
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
三宅 俊彦 淑徳大学, 人文学部, 教授 (90424324)
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研究分担者 |
櫻木 晋一 下関市立大学, 経済学部, 教授 (00259681)
菊池 百里子 (阿部百里子) 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構本部, 総合情報発信センター, 研究員 (50445615)
遠藤 ゆり子 淑徳大学, 人文学部, 准教授 (70612787)
中村 和之 函館工業高等専門学校, 一般人文系, 教授 (80342434)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 考古学 / 東ユーラシア / 出土銭 / 中近世 / 銭貨流通 |
研究実績の概要 |
2018年度はこれまでの研究成果をまとめた学術論文を、2018年9月に研究代表者の三宅俊彦が発表した。また国際的な研究会を2018年11月に開催し、各研究分担者の研究の進捗状況を確認するとともに、フランスから中国貨幣史の研究者であるリセ・ヤンコウスキ氏を招き研究発表していただいた。これにより国際的な研究会を開催するという4年目に予定していた計画も、1年前倒しで実施することができた。さらに研究成果の対外的な公表を目的として、2019年1月に大阪大学で開催された国際学会Asian Association of World Historians 2019に、三宅・中村・櫻木・菊池が参加(研究協力者のP. アルテミエヴァが紙上参加)し、“An Attempt to Establish East Asian Numismatic Archeology”と題するパネルを開催し、本研究の成果を内外に公表することができた。さらに三宅は2019年3月に香港中文大学にて「10-15世紀東欧亜大陸東部的銭幣流通」と題する研究発表を行った。 国内調査では、櫻木が鹿児島県喜界町および北海道松前町での調査、遠藤が青森県の出土銭情報の収集・整理、中村と研究協力者の西谷榮治が北海道にて出土銭調査を行った。 海外調査では、2018年12月に三宅・菊池・櫻木が、ベトナムのハティン省博物館収蔵の一括出土銭の調査を行った。調査は今後も継続して行う予定であり、また社会還元としての図録刊行の協議を行った。この調査の初歩的な成果は2019年5月の日本考古学協会にて研究発表する予定である。海外調査では2019年3月にモンゴルにてカラコルム遺跡の出土銭の調査を行った。また櫻木がイギリスのフィッツウイリアム博物館所蔵朝鮮銭貨データベースを完成、またデンマーク国立博物館でブラムセンコレクションの調査を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで、予定している調査および研究については、おおむね順調に進展していると評価できる。 研究会では海外から研究者を招聘し、最新の研究動向を共有することができた。また本研究の成果を内外に公表する目的でも、国際学会におけるパネルの開催、香港での研究発表など、実績をあげることができている。また学術論文も、着実に公表できている。 調査も国内・国外とも実施できている。国内では九州および北海道で継続して調査が進んでおり、東北の情報も蓄積が進んでいる。海外ではベトナムおよびモンゴルにて出土銭の調査を実施してきた。それらの研究成果の公表も、次年度以降予定されている。またヨーロッパでの博物館収蔵資料の調査も進展をみせている。 しかし、当初予定していた中国深セン博物館での共同研究がまだ実施できていない。これは中国側の研究環境が整わないことが原因である。この点について2019年3月に深セン博物館にて協議を行い、2019年中に中国国家文物局へ共同調査の申請をすることで合意している。よって次年度には調査が実施できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度が本研究課題の最終年度となる。そのため、研究成果をとりまとめ公表する準備を行いたい。具体的には、各研究分担者の研究成果をとりまとめ、成果報告を作成・刊行したいと考えている。また当初4年目に予定していた国際的な研究会は、3年目に実現したため開催しない。 上記成果報告を作成する上で必要な、国内外の調査も引き続き行う予定である。それらは今年度中にまとめることとする。 またベトナムでの調査はさらなる成果が期待でき、引き続き調査を実施したい。この調査では、先方の研究機関が調査の継続を希望していることから、本研究課題の成果を基に、さらに研究の発展・継続が見込める。ヨーロッパでの博物館収蔵資料の調査も継続して行う必要があろう。さらに、中国深センでの調査を今年度中に開始する予定である。この共同調査も今後複数年にわたり継続が求められる研究課題である。そのため本研究課題終了後、速やかに新たな科研費を申請し、調査研究を途切れずに進めることが重要である。今後も継続して調査研究を進めていきたい。
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