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2017 年度 実績報告書

日米豪台における小地域別将来人口推計システムの構築と推計結果の比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 16H03525
研究機関青山学院大学

研究代表者

井上 孝  青山学院大学, 経済学部, 教授 (10211749)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード小地域 / 将来人口推計 / GIS / 平滑化 / 人口統計
研究実績の概要

まず、研究代表者が構築した「全国小地域別将来人口推計システム」の大幅更新を行い、ver.2.0のリリースを行った。この公開は予定されていたものであり、システムのインターフェースと地図の凡例等を刷新したほか、ダウンロードデータの文字コードの変換等の作業を行った。また、ユーザからの要望が強かった新しい地図のページを付加する作業も行った。この更新内容については人文地理学会大会で報告を行った。
次に、米国ワシントン州の州政府の人口専門家の協力を得て、同州の小地域別将来人口推計を民族別に実施し、The Web Mapping System of Small Area Population Projections for the State of Washingtonとして公開した。この推計に当たっては、GQP(Group Quarters Population,施設収容人口)の割合が高い小地域について特別な数式を開発し、その数式の効果について米国シアトルで開催された国際人口地理学会で報告した。また、GQPが高い小地域の実態についてフィールドワークを通じて確認を行った。さらに、ワシントン州の推計作業とその結果については、米国サンディエゴで開催されたESRIユーザコンファレンス、南アフリカ・ケープタウンで開催された国際人口学会、CSIS DAYS 2017において、日本のシステムとの比較を交えて発表を行った。
また、2015年の国勢調査小地域別・男女5歳階級別人口が2017年後半に総務省統計局のサイト「政府の統計窓口(e-Stat)」に公開されたので、同システムの推計人口を最新のものに更改するための基礎的データの整理(2015年の小地域区画に2010年の人口を按分する作業)を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

日本のシステムの推計人口を最新のものに更改するための上述した作業は、当初は平成30年度もしくは31年度に実施する予定であったが、2015年のデータが見通しよりも早く公開されたため、大幅に前倒しして平成29年度に実施した。また、米国ワシントン州のシステムのリリースについては予定よりも早めに実行できたうえ、当初の予定になかった民族別の推計結果も公開することができた。これらの日米のシステムの詳細については、内外の5つの学会で報告をしたほか、その理論的背景については英語と日本語の2つの論文にまとめた。しかし、当初は、台湾とオーストラリアの推計に向けた準備を行うために平成29年度内にどちらかを訪問する予定であったが、これについては実現することができなかった。
以上の点から、当初の計画に比べて日本と米国については進展しているが、台湾とオーストラリアについては遅れている状況である。

今後の研究の推進方策

2018年3月時点で公開中の「全国小地域別将来人口推計システム」は、2005年と2010年の国勢調査に関する小地域別・男女5歳階級別人口に基づいて算出された、2015~2060年推計人口を発信している。この推計人口のニーズは極めて高く、これまで多くの自治体とその関連団体、ならびに研究者から使用許諾の依頼が寄せられてきた。一方、2015年の国勢調査小地域別・男女5歳階級別人口が2017年後半に総務省統計局のサイト「政府の統計窓口(e-Stat)」に公開されたので、このデータと2010年のデータを用いて新たに推計作業を行えば、上記システムの推計人口を最新のものに更改することができる。2015年の国勢調査小地域別・男女5歳階級別人口の公開は、当初は2018年の後半になるとの見通しであったため、同システムの推計人口の更改は平成31年度を予定していた。しかし、上述したように同システムが提供するデータのニーズは極めて高いため、計画を前倒ししそのデータの更改とリリースを平成30年度中に行うこととする。
上述したデータの更改をするための基礎的データの整理(2015年の小地域区画に2010年の人口を按分する作業)はすでに平成29年度中に終了しているが、その後の平滑化の作業においてワシントン州のシステム構築時に開発した数式を適用する予定であるため、データの更改に至るまで相当の時間を要すると考えられる。そのため、平成30年度は同システムの推計人口の更改とリリースを最優先する。それに加えて、平成30年度は台湾もしくはオーストラリアのシステム構築に向けた準備を可能な限り進める。
最終年度である平成31年度においては、台湾とオーストラリアのシステム構築を実施し、それを踏まえたうえで、4つの国・地域における小地域別将来推計人口の包括的な比較を行う予定である。

備考

字数制限を超えるため、(2)と(3)の正式名称を以下に示します。
(2) The Web System of Small Area Population Projection for the Whole Japan
(3) The Web Mapping System of Small Area Population Projections for the State of Washington

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] 「全国小地域別将来人口推計システム」正規版の公開について2018

    • 著者名/発表者名
      井上 孝
    • 雑誌名

      E-journal GEO,

      巻: 13 ページ: 87-100

    • DOI

      https://doi.org/10.4157/ejgeo.13.87

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The reconsideration of the census survival ratio method: focusing on decomposability of net migration2018

    • 著者名/発表者名
      Takashi Inoue
    • 雑誌名

      経済研究

      巻: 10 ページ: 39-53

  • [学会発表] Small area population projections by race for the state of Washington using a two-step smoothing method2017

    • 著者名/発表者名
      Takashi Inoue
    • 学会等名
      9th International Conference on Population Geograhpies
    • 国際学会
  • [学会発表] Development of the web system of small area population projections2017

    • 著者名/発表者名
      Takashi Inoue
    • 学会等名
      Esri User Conference 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] A smoothing method for small area demographics and its application to racial population projections in the US2017

    • 著者名/発表者名
      Takashi Inoue
    • 学会等名
      28th IUSSP International Population Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] 「全国小地域別将来人口推計システム」バージョン2.0の公開について2017

    • 著者名/発表者名
      井上 孝
    • 学会等名
      2017年度人文地理学会大会
  • [学会発表] 米国を対象とした小地域別将来人口推計ウェブマッピングシステムの開発2017

    • 著者名/発表者名
      井上 孝
    • 学会等名
      CSIS DAYS 2017
  • [備考] 全国小地域別将来人口推計システム(日本語版)ver.2.0

    • URL

      http://arcg.is/1LqC6qN

  • [備考] 同英語版ver.2.0

    • URL

      http://arcg.is/1GkdZTX

  • [備考] ワシントン州将来人口推計ウェブマッピングシステムver.1.0

    • URL

      http://arcg.is/2s5i2Vk

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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