研究課題/領域番号 |
16H03527
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
鳴海 邦匡 甲南大学, 文学部, 教授 (00420414)
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研究分担者 |
小林 茂 大阪大学, 文学研究科, 名誉教授 (30087150)
塚本 章宏 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (90608712)
後藤 敦史 大阪観光大学, 国際交流学部, 講師 (60710671)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 海図 / 水路誌 / 旧日本海軍水路部 / 東アジア海域 / アメリカ議会図書館 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、特に明治期に日本海軍水路部が作成した海図の全容を、西欧における19世紀の東アジア海域における近代海図の整備過程の中に位置づけて理解することである。 テーマに関連する資料調査のため、以下の機関で調査を実施した。まず、海外調査としては、2016年9月4日から19日、および2017年3月2日から18日の期間、アメリカ合衆国のワシントンDCに位置するアメリカ議会図書館において、同図書館に所蔵される日本海軍水路部製や英国海軍水路部製の海図を主に調べたほか、米仏露国製の海図の調査も実施した。また、日本国内では、2016年11月18日から20日、12月13・14日、2017年3月21・22日に、東京の国立公文書館を中心として、旧日本海軍水路部作製の明治初期の海図と水路誌の調査を実施した。 テーマに関連する資料として、英国水路部製の水路誌や水路雑誌、旧日本水路部作成の海図などを購入した。特に水路部作成の海図については、購入した資料を整理し、調書をとったうえで目録を作成した。 調査の成果の一部については、2016年11月に開催された人文地理学会にて大会報告(タイトル:長久保赤水の日本図と英国海図)を行い、また、2017年2月刊行の『近代日本の海外地理情報収集と初期外邦図』にて報告した。 2016年6月末の怪我を受けて予算の一部を翌年度に繰り越した。そのため、当初予定していたアメリカ議会図書館に所蔵される戦前の旧日本海軍水路部製の海図についての悉皆調査を2017年度に実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外調査としては、主にアメリカ議会図書館で実施し、同図書館に所蔵される日本海軍水路部が作製した明治初期の海図のほか、英米仏露国の水路部の作製した海図の調査も実施した。しかし、6月末に被った怪我のため、9月のアメリカ調査が思うように進めることができず、当初予定していた調査のうち、アメリカ議会図書館に所蔵される戦前の日本海軍水路部の作製した海図の悉皆調査については準備することができず、予算を翌年に繰り越すこととした。そのため、研究の進捗がやや遅れることとなった。 日本国内の調査については、東京の国立公文書館を中心に明治初期の海図の調査を実施した。調査を予定する資料の点数が多いために学生の動員が必要であり、そのため夏季休暇中に実施する予定であったが、怪我のために延期することになった。しかし、11月に実施することができ、また、その後も継続して調査することができたため、当初の遅れを取り戻すことができた。 購入した旧日本水路部作製の海図については、一点づつ調書を作成し、予定通り目録にまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
海外調査の今後の推進方策は以下の通りである。アメリカ議会図書館に所蔵される資料については、2016年度の調査で旧日本海軍水路部の作製した海図の全体をおおよそ把握することができたので、2017年度の調査では、繰り越した予算で予定している調査の遅れを取り戻しつつ、2017年度の調査で議会図書館に所蔵されるそれらの資料についての調査の目途をつけたいと考えている。また、2016年度はアメリカ国立公文書館での調査にあまり時間をかけることができなかったので、2017年度には調査の作業方針が確立できるよう進めていきたいと考えている。 国内の資料調査については、おおよそ国立公文書館に所蔵される明治初期海図の調査を終えることができたので、2017年度は水路誌の調査を中心に実施していきたいと考えており、調査機関として国立公文書館のほか、国立国会図書館を予定している。 2016年度の調査・研究成果について、日本の明治初期の海図と水路誌、東アジアにおける19世紀初期の海図整備過程というふたつのテーマの報告を行う予定である。
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