研究課題/領域番号 |
16H03533
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学・民俗学
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研究機関 | 神奈川大学 (2018-2020) 関西学院大学 (2016-2017) |
研究代表者 |
関根 康正 神奈川大学, 付置研究所, 研究員 (40108197)
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研究分担者 |
鈴木 晋介 茨城キリスト教大学, 文学部, 准教授 (30573175)
根本 達 筑波大学, 人文社会系, 助教 (40575734)
志賀 浄邦 京都産業大学, 文化学部, 教授 (60440872)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 佐々井秀嶺 / 被差別民解放運動 / アンベードカル / 思想としての仏教 / ダンマ / エンゲイジド仏教 / アーカイヴ化 / 改宗 |
研究成果の概要 |
元不可触民差別解放のためにアンベードカルが開始した仏教改宗運動は新たな指導者として仏教僧佐々井秀嶺に引き継がれた。ナーグプルを拠点にした佐々井の改宗運動と糾合したダリト民衆の生活実践を調査し社会苦を自己の問題とする当事者性の獲得の仕方に注目した結果、その獲得方法が、アンベードカルが改宗先に仏教を選んだ理由と同根の自発自立思想の実践であることがわかった。佐々井、アンベードカル、龍樹、ブッダの言説を遡りダンマに立ち帰ることで絶対神なき宗教すなわち存在の無常に徹した合理性に立つ自立思想を説く仏教こそが、ヒンドゥー社会を脱して当事者として被差別の困難に立ち向かう自己と社会の同時思想革命を導くのである。
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自由記述の分野 |
文化人類学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
被差別民解放における尊厳獲得の道として自発自立の慈悲を説く仏教の核心としてダンマの教えが再発見され、宗教の枠に甘んじ現実の社会問題に関与しない仏教教団への批判的助言となる。神の前で平等を説く宗教が、絶対神への人間の依存によって自立的判断が阻まれ排他的差別行為を産み出すというアイロニーがあるからだ。破格の仏教僧佐々井秀嶺の人生のカルマ即ニルヴァーナを求めての格闘の足跡は、インド被差別民衆の抱える社会苦を共苦として慈悲を全うする上述のダンマの実現であった。1960年代からの半世紀に及ぶ佐々井の膨大な手記や資料のアーカイヴ化が整えられた。エンゲイジド仏教研究の基礎資料として研究の深化が可能になった。
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