研究課題/領域番号 |
16H03538
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
桑原 尚子 早稲田大学, 法学学術院, その他(招聘研究員) (10611361)
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研究分担者 |
佐藤 やよひ 関西大学, 法学部, 教授 (00235409)
大河内 美紀 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (20345838)
青柳 かおる 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (20422496)
吉川 孝 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (20453219)
辻上 奈美江 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任准教授 (30584031)
飯塚 正人 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90242073)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イスラーム圏 / 生殖補助医療 / 多元的法体制 / 多元的正義 |
研究実績の概要 |
本研究では、①生殖医療に対する規律についてのその法的拘束性、正統性及び実効性の観点からの考察、②イスラーム圏における生殖医療の論じられ方の解明、③イスラーム圏における生殖医療に関する倫理的正当性の論理的枠組の考察、及び④生殖医療をめぐる政治的要因の解明、という4つの研究課題に取り組んだ上で、これらの結果を総合して、イスラーム圏における法過程の特質を明らかにし、イスラーム圏における法現象を理解するための分析枠組を構築することを目指している。当該年度は、生殖医療の実態を検討し、法的拘束性を有する規律、法的拘束性を欠くが実効性を有する規律ならびに法的拘束力および実効性とも有する規律に分類整理した。また、国家法としてイスラーム法の適用をしている国だけでなく、世俗主義を掲げるトルコの生殖補助医療をめぐる法規制を比較材料として把握するために、トルコより研究者を招聘して国際会議を実施した。 法規制は未整備の諸国が多いとはいえ、宗教規範としての規律による規制の例が多くみられ、必ずしも体系的かつ統一的な法規制が存在するとは言い難い状況が明らかとなってきた。他方で、人々の法使用行動を把握する上で、とくに法的拘束性はないが宗教規範性を有する規律に違反した場合のサンクションまたはデメリットの解明が課題として浮かび上がってきた。また、生殖補助医療のための国境を超えた移動の実態が明らかとなってきたが、果たしてかかる移動が(先進の)医療技術を目的としているのか、あるいは規制を回避することを目的としているのか、さらに検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生殖補助医療に関する規律を材料としてイスラーム圏における法過程の特質を明らかにし、イスラーム圏における法現象を理解するための分析枠組を構築することを目指しており、当該年度に法現象の分析枠組の仮説を立てることを予定していたが、現状分析で明らかとなってきた多元的規範、多元的正義のあり方を理論化するまでには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
①生殖医療に対する規律についてのその法的拘束性、正統性及び実効性の観点からの考察、②イスラーム圏における生殖医療の論じられ方の解明、③イスラーム圏における生殖医療に関する倫理的正当性の論理的枠組の考察、及び④生殖医療をめぐる政治的要因の解明の結果を総合して、イスラーム圏における法過程の特質を明らかにし、イスラーム圏における法現象の分析枠組を構築する。
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