研究課題/領域番号 |
16H03541
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
高橋 滋 法政大学, 法学部, 教授 (30188007)
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研究分担者 |
下山 憲治 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (00261719)
青木 人志 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (00210998)
王 雲海 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (30240568)
角田 美穂子 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (10316903)
田中 良弘 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (10766744)
周 セイ 久留米大学, 法学部, 講師 (50633476)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 食品安全 / 食品安全行政 / 食品表示 / 遺伝子組換え食品 / 東アジアの食品安全制度 / 食品安全と行政法 / 食品安全と消費者保護法 / 食品安全と刑事法 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、日本、中国、韓国の研究組織との緊密な連携を図りつつ、(i)基礎作業の実施、(ii)各国での制度分析、共通認識の形成、(iii)キックオフ交流会、(iv)交流会を踏まえた各国制度分析の深化、を実施した。 (i)基礎作業の実施として、各研究者において、参考文献・論文を用いて、研究課題の関連知識を得た。 (ii)・(iii)研究期間の上半期は、各国の研究員による基礎作業、情報収集活動、制度分析を進め、その成果報告のため、平成28年12月10日、日本(一橋大学)にて、国際会議「東アジア地域における食品安全法制の比較法的研究」を開催した。出席者は、日本、韓国、中国の研究者総勢22名、通訳5名、スタッフ4名。全体会議における報告は、全体報告、中国報告(報告とコメント)、韓国報告(報告とコメント)、日本報告、の全6報告。全体会議においては、各報告者から、各国の制度につき報告が行われ、討論を行った(全体会議における報告、コメントについては、それぞれを原稿とし、雑誌に掲載する準備を進めている)。 (iv)12月の研究会開催のあと、行政法、消費者保護法、刑法の各領域ごとに、各々の研究活動を進め、その成果を、平成29年3月18日、行政法領域別研究会「遺伝子組換え食品安全法制に関する研究会」(中国人民大学)、消費者保護法領域別研究会「韓日中食品安全行政」(韓国釜山大学)、刑法領域別研究会「食品安全刑事犯罪法制に関する研究会」(中国人民大学)において共有した。各領域別研究会においては、報告者による個別報告を基礎として、各国の近時の状況についての意見交換や、発展的課題についての討議を行った。 付記すべき研究実績として、平成28年12月から平成29年2月にかけ、外部機関からの意見聴取・資料収集の機会を持ち、研究計画を推進していくための有意かつ重要な研究資源(資料、情報、知見)を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、研究代表者の所属機関に変更があったこと、また、事務局(一橋大学)体制の変更、研究者の研究環境及び研究状況の変化を理由とする分担研究者の変更など、研究体制についての変更が生じた。このような体制上の変更はあったものの、研究課題の進捗という実質的な観点からは、(i)基礎作業の実施、(ii)各国での制度分析、共通認識の形成、(iii)キックオフ交流会、(iv)交流会を踏まえた各国制度分析の深化、のすべての項目について、研究計画に沿った各種研究活動を推進・実施することができた。 特に「日本、中国、韓国の研究組織との緊密な連携」という観点からは、全体会を1回(12月)、領域別分科会を2回ずつ開催し(行政法領域は日本(12月)と中国(3月)、消費者保護法部会は日本(12月)と韓国(3月)、刑法領域は日本(12月)と中国(3月)にて開催)、これらの全体会、研究会を通じて、各段階・各領域ごとの成果確認と実績報告の機会とすることができた。さらに、各々の会議の開催前後には、日本国内においては各研究者と事務局とが集まり進捗状況や今後の進め方等について周知・確認をし、海外の研究者との間ではメールやインターネットを利用して頻繁に情報交換・情報共有を重ねた。これらの工夫により、研究体制の変更にもかかわらず、各種研究活動をおおむね順調に進めていくことが可能となった。 複数回にわたる国際会議の実施の負担は大きかったが、領域別研究会を重ねることを通じて、各国の研究者間、日本国内の研究者間、研究領域毎の研究者間の交流が複層的にすすみ、実質的な連携体制の構築が図られたと同時に、日本・中国・韓国の各国における食品安全行政、食品安全制度、食品安全をめぐる消費者保護等の現状等といった諸問題について、その分析や検討の方向性、具体的な研究の進め方などについて、具体的な議論を重ねることが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、平成28年度における研究実績を礎として、(i)各国別、領域別の検討課題の抽出、(ii)国際研究集会(全体会及び領域別分科会)の開催、(iii)各国別研究会の開催、(iv)中間成果の公表、を行う予定である。平成29年度研究実施計画に沿う形で、具体的には、下記の方策により研究の推進をしていく。 (i)各国別、領域別の検討課題の抽出:平成28年度の作業を通じて得られた共通認識に基づき、各国別・法領域別の視点から引き続き研究を継続し、国際研究集会の結果を踏まえ、最終的な政策提言の基礎とし得る検討課題を各国別、領域別に抽出する。なお、平成29年度においては、従来の研究体制に加え、国民生活センターと連携し、日本・中国・韓国の食品安全法制の制度分析と検討課題の抽出を行う。 (ii)国際研究集会(全体会及び領域別分科会)の開催:①各国において実施された制度分析の深化とそこから得られた法制度上の問題点を踏まえ、日本・中国・韓国の研究者を集めた国際研究集会(全体会)を開催する。各国における研究の中間的成果を持ち寄り、検討を行う。②各国において実施された検討課題の抽出作業を踏まえ、日本・中国・韓国の研究者を集めた国際研究集会(領域別分科会)を開催する。 (iii)各国別研究会の開催:各国別に研究会を開催する。日本においては、一橋大学において年4回の国内研究会を開催し、日本における制度分析の深化及び検討課題の抽出作業の成果について研究者が報告し、他領域の研究者を交えて意見交換を行う。 (iv)中間成果の公表:平成28年度の成果を取りまとめ、年度の中間地点を目処に学術誌に公表する(自治研究に掲載予定)。また、各研究者においても、これまでに得られた成果を取りまとめて公表する予定である。さらに、中国・韓国においても、これまでに得られた成果について公表することが検討されている。
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