研究課題/領域番号 |
16H03544
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
村上 裕章 九州大学, 法学研究院, 教授 (20210015)
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研究分担者 |
勢一 智子 西南学院大学, 法学部, 教授 (00309866)
小島 立 九州大学, 法学研究院, 准教授 (00323626)
渡辺 徹也 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (10273393)
村西 良太 大阪大学, 高等司法研究科, 准教授 (10452806)
石森 久広 西南学院大学, 法務研究科, 教授 (30212939)
深澤 龍一郎 九州大学, 法学研究院, 教授 (50362546)
山下 昇 九州大学, 法学研究院, 教授 (60352118)
原田 大樹 京都大学, 法学研究科, 教授 (90404029)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 行政法 / 行政争訟法 / 行政訴訟法 / 行政上の不服申立て / 個別法 |
研究実績の概要 |
本研究は、個別行政法の現状を踏まえ、行政争訟制度改革のための具体的提言を行おうとするものである。具体的には、集合的利益、訴訟類型の多様化、民事訴訟との役割分担、訴訟と不服申立ての関係という4つのクラスターごとに研究を行い、これらを総合して上記の提言を行うことをめざす。本研究は、科学研究費基盤研究(B)「現代行政の多様な展開と行政訴訟制度改革(平成25年度~27年度、以下「先行研究」という)を発展させたものである。 初年度である本年度においては、年度当初に研究打合せを実施し、先行研究の成果を総括するとともに、新たに加わったメンバーも含めて問題意識を共有した。その上で、研究分担者が各担当部分の研究を行ったほか、各クラスターの担当者間で随時意見交換を行い、さらに研究会を頻繁に開催して各人の研究成果を全体にフィードバックした。 研究会としては、4月23日に深澤龍一郎「行政不服審査法43条について」(九州公法判例研究会との共催)、7月9日に村上裕章「裁判所における情報公開」(同上)、9月3日に山田洋(一橋大学)「ドイツの石炭火力発電所許可の訴訟をめぐって」、10月1日に勢一智子「審議会行政における専門性と「民意」」及び石森久広「財政民主主義」(九州公法判例研究会と共催)、10月17日に深澤龍一郎「最判平成27年12月14日民集69巻8号2404頁(市街化調整区域における開発許可取消訴訟の訴えの利益)」(九州行政判例研究会と共催)を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度においては、各クラスターにおいて既にかなりの業績を上げることができ、研究はおおむね順調に進展している。詳細は「研究業績」欄に記載したとおりであるが、主要なものを挙げると、集合的利益については、村上「土地家屋調査士法44条1項に基づく懲戒申出を受けた地方法務局長がした当該土地家屋調査士に対し懲戒処分を行わないとの決定の行政処分性」、原田「本案審理の充実に向けて」、石森「ドイツにおける憲法上の起債制限規律に基づく司法的コントロール」、訴訟類型の多様化については、原田「情報通信技術と政府間関係」、民事訴訟との役割分担については、村上「裁判所の情報公開」、訴訟と不服申立ての関係については、深澤「オーストラリアのAATにおける政策審査」などがある。
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今後の研究の推進方策 |
各クラスターのうち、集合的利益については既にシンポジウムを実施し、その成果を公表している。今後は訴訟と不服申立ての関係について特に集中的に研究を進める予定であり、来年3月から6月頃にかけて、このテーマについて公開シンポジウムを開催することを計画している。現時点では、環境法・社会福祉法・労働法・税法・経済法・電波法を素材として、訴訟と不服申立ての関係を議論したいと考えている。そのため、本年7月頃に準備的な会合を行った上で、このテーマに詳しい研究者を招聘して研究会を開催し、シンポジウムにおける成果に結び付ける。シンポジウム終了後は、雑誌等にその成果を公表する予定であり、これから出版社と交渉を開始する。
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