研究課題
本研究は、日本の労働組合法の立法過程の研究を踏まえつつ、今日の労使関係法のあるべき姿を比較法研究にもとづき検討することを目的とする。最終年である平成30年度の実績は、以下のとおりである。第1に、比較法研究については、前年度までに行った研究、特に季刊労働法257号(2017年夏号)に特集として掲載した、1950年を切り口とした各国の労使関係法制の歴史分析を基礎に、現在におけるフランスのマクロン改革、ドイツの労働協約単一性に関する連邦最高裁判決、アメリカのトランプ政権下のNLRBの動きなどを、さらに詳しくフォローした。また、各国を横断的に見る上での重要な転換点として、1980年代の各国の労使関係法の変容とそれが現在に持つ意味について、掘り下げた検討を行った。第2に、日本の労働組合法については、昨年度に行った1952年改正の経過の分析を発表するとともに、そこに至るまでの1945年法・1949年法の立法過程の体系的な再整理や、アメリカ法との比較を行った。また、特に必要性が高まっている職場の従業員代表制度について検討を行い、論考を発表した。さらに、立法過程研究の補充として、現行の1949年法の国会での審議記録の精査も行い、特に公聴会での学識経験者の発言をまとめた資料を作成した(紀要で発表予定)。第3に、日本の労働組合法のあるべき方向について研究会で何度か議論を行った。統一的なモデルや方向性を示すまでには至らなかったが、今後もさらに議論を続けることとされた。また、2018年6月1日に最高裁が労働契約法20条について初めて下した2つの判決、とりわけ「労使自治」という概念を示した長澤運輸事件について、労使関係法の観点から研究会で議論し、それを実質化するための制度的基盤が重要とのコンセンサスが得られた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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