研究課題
研究期間の終了に当たり、本年度の研究実施計画にしたがって、持続可能な経済発展という現下の社会的課題に鑑み、研究全体の総合化や経済犯罪規制の理論枠組みの検討を行うとともに、経済刑法の重要問題である背任罪と喫緊の解決が求められ、経済刑法分野における新たな重要問題となった特殊詐欺等について、これまでの研究成果を具体化し、公表する作業を行った。研究代表者が、刑法判例について、分担者宇藤が、刑事訴訟法判例について、最近の動きを総覧するという基礎的な作業を行い、これらと並行して、具体的には、代表者が、被害者と一定の関係にある者が財産上の損害を加える類型である背任罪の意義・要件について、包括的、総合的な検討を完成させ、その成果の公表を待つ段階に至った。さらに、分担者小田が、財産的損害規定という理解にとどまらない、経済刑法の制度的理解をふまえ、汚職との関係性を指摘した特別背任罪についての研究成果を公表した。また、不特定多数者を対象とする類型である特殊詐欺について、代表者が前年度公表した研究成果をふまえ、総合的な研究に向けて共同研究を主宰し、分担者嶋矢が特殊詐欺と共犯について、学会において成果を公表するとともに、同東條が特殊詐欺と未遂犯について、研究成果を公表し、判例に現れた実務の内実とこれに関わる詳細な理論的分析を明らかにした。手続法に関しては、分担者宇藤が、取調べという捜査手法による成果をどのように用いるかという観点において、経済犯罪捜査において重要な意義を有する協議合意との関係も想定される録音・録画の証拠利用について研究成果を公表し、同池田が、強制処分法定の根拠と基準に関し、経済犯罪の特質をふまえた捜査手法実施に示唆を与える研究成果を公表した。さらに、経済犯罪の重要な一翼を担う賄賂罪に関し、その立法の展開等について、同嶋矢が、日中刑事法シンポジウムにおいて研究成果を報告し、公表した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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刑法雑誌
巻: 58巻3号 ページ: 378-397
ジュリスト
巻: 1531号 ページ: 142-147
法学教室
巻: 471号 ページ: 135-136号
神戸法学雑誌
巻: 69巻3号 ページ: 1-33
論究ジュリスト
巻: 31号 ページ: 202-207
刑事法ジャーナル
巻: 60号 ページ: 44-49