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2017 年度 実績報告書

ヨーロッパ消費者法の体系と消費者の権利 --消費者法の体系化へ向けて

研究課題

研究課題/領域番号 16H03571
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

鹿野 菜穂子  慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (10204588)

研究分担者 中田 邦博  龍谷大学, 法学部, 教授 (00222414)
若林 三奈  龍谷大学, 法学部, 教授 (00309048)
馬場 圭太  関西大学, 法学部, 教授 (20287931)
宗田 貴行  獨協大学, 法学部, 准教授 (60368595)
カライスコス アントニオス  京都大学, 法学研究科, 准教授 (60453982)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード消費者法 / EU法 / 比較法 / 広告規制法 / 民法 / 競争法
研究実績の概要

平成29年度は、一方で、ヨーロッパ消費者法全体の包括的な動きについての検討を、前年度に引き続き進めるとともに、他方で、各国の消費者法の展開に関する分析にも力を入れた。具体的には、EUの消費者関連指令が各国消費者法にいかなる影響を与えているのかを明らかにするための調査検討作業を進めた。その際、各国の法体系の中における消費者法制の位置づけ、規制形式や、規制の実効化策(差止請求権、違法な収益の剥奪請求権、損害賠償請求権など)にも注目した。調査対象国としては、ドイツ、イギリス、フランス、ルクセンブルクを中心とした。
力点を置いた具体的なテーマのひとつは、表示広告規制である。すなわち、表示広告規制は、消費者法と競争法が交錯する分野でもあり、消費者団体の役割も期待される分野であることから、各国の表示広告規制とその実効化策について、さらに研究を進めた。
また、インターネット上の市場の急速の拡大と共に浮上した問題のひとつとして、オンラインプラットフォーマーの責任のあり方というテーマがある。このテーマは、日本でも重要性を増しているが、ヨーロッパにおいても新たな議論動向があることが判明したため、この問題に関する調査を進めた。これらの研究の一環として、平成29年10月には、ドイツ・オスナブリュック大学のクリストフ・ブッシュ教授を招聘し、「オンライン・プラットフォーム責任」および「ヨーロッパ不公正な取引方法に関する法:一般的枠組と近時の展開」というテーマで講演会を開き、意見交換を行った。
平成30年3月には、欧州委員会を訪問して、近時のEU消費者法の新たな動向とその背景にある問題状況などについてヒアリング調査を行うとともに、ルクセンブルクの消費者団体の活動状況について実地調査を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

EU消費者法の新たな動向については、文献調査と欧州委員会への訪問調査などをあわせて、情報収集がかなり進んだ。また、各国消費者法への影響や各国の法体系の中における消費者法の位置づけに関する調査も、ほぼ予定通り進んでいる。実地調査については、訪問先との日程調整等との関係で、予定以上にスムーズに実施できている対象国と、平成30年度に持ち越した国や地域があるが、これは、当初の計画における想定の範囲内の誤差ということができる。
法体系の観点からの分析も、平成29年度には開始したが、この点は、最終年度である平成30年度において、より深く分析することを予定している。

今後の研究の推進方策

本研究の最終年度にあたる平成30年度には、全体のまとめの作業に取りかかる。
まず、前2箇年の研究に基づいて得られた情報を整理すると共に、欠けている情報や新たな動向について資料を補充し、分析をさらに進める。特に、EUの政策および法全体をめぐる検討と、各国法の影響に関する分析とを接合させ、全体像を明らかにする作業を進める。
また、各国の調査の結果を比較し、その違いの所在とその原因がどこに存するのかについて、分析・検討を加える。その際、各国の制度における社会的背景、裁判所と行政の果たす役割分担の伝統的な違い、政府諸機関と民間の消費者団体等が消費者保護分野において果たしてきた役割の違い等についても十分に考慮を払いながら、分析を進めることが必要となる。
このような分析を進めるため、国内で複数回にわたり研究会を開き、各担当者が検討結果を発表し、研究組織のメンバー全員で議論を重ねる。
さらに、平成30年度中には、「消費者法の構造化――ヨーロッパにおける消費者法の進展(仮題)」と題して、ヨーロッパの研究者も交えて研究者集会(シンポジウム)を開くことを計画している。そこでは、(1)市場統合と法の平準化、(2)デジタル単一市場の形成と課題、(3)消費者権利指令と消費者法の体系、(4)消費者法の実効化一集団的権利保護のあり方――などの具体的テーマを立て、報告と議論を行うことを予定している(以上に挙げた具体的テーマは、現時点での予定であって変更の可能性がある)。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (8件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] ドイツ競争制限禁止法第9次改正による民事的救済制度の改善[1]2018

    • 著者名/発表者名
      宗田貴行
    • 雑誌名

      国際商事法務

      巻: 46巻3号 ページ: 299-310

  • [雑誌論文] 惹起型錯誤・不実表示と消費者契約法4条2017

    • 著者名/発表者名
      鹿野菜穂子
    • 雑誌名

      法学教室

      巻: 441号 ページ: 23-29

  • [雑誌論文] 広告と民事法理2017

    • 著者名/発表者名
      鹿野菜穂子
    • 雑誌名

      消費者法

      巻: 9号 ページ: 14-19

  • [雑誌論文] 「定型約款」規定の諸課題に関する覚書き2017

    • 著者名/発表者名
      鹿野菜穂子
    • 雑誌名

      消費者法研究

      巻: 3号 ページ: 73-96

  • [雑誌論文] 日本における広告規制の概要--消費者法の観点から2017

    • 著者名/発表者名
      中田邦博
    • 雑誌名

      消費者法

      巻: 9号 ページ: 4-8

  • [雑誌論文] フランス債務法改正オルドナンス(2016年2月10日のオルドナンス第131号)による民法典改正2017

    • 著者名/発表者名
      馬場圭太、荻野奈緒、齋藤由起、山城一真(共訳)
    • 雑誌名

      同志社法学

      巻: 390号 ページ: 279-331

  • [雑誌論文] ドイツにおける消費者団体訴訟制度の新たな展開――消費者被害救済のための妨害排除請求権の活用2017

    • 著者名/発表者名
      宗田貴行
    • 雑誌名

      国民生活研究

      巻: 57巻1号 ページ: 1-25

  • [雑誌論文] 平準化されたヨーロッパ私法およびアキ・コミュノテールのEU加盟国へのインパクト――大陸法とコモン・ローの調和――2017

    • 著者名/発表者名
      ルス・M.マルティネス・ヴェレンコソ著(カライスコス アントニオス訳)
    • 雑誌名

      ノモス

      巻: 40号 ページ: 33-67

  • [学会発表] 改正民法における定型約款規制について2018

    • 著者名/発表者名
      馬場圭太
    • 学会等名
      韓中日国際學術大會「韓中日消費者法の最新動向」
    • 国際学会
  • [学会発表] 消費者法の発展―被害の救済方法と抑止方法の多様化:ドイツ2017

    • 著者名/発表者名
      宗田貴行
    • 学会等名
      日本比較法学会
  • [学会発表] Das Recht und seine Durchsetzung2017

    • 著者名/発表者名
      宗田貴行
    • 学会等名
      ドイツ比較法学会
    • 国際学会
  • [図書] 基本講義消費者法(第3版)2018

    • 著者名/発表者名
      中田邦博、鹿野菜穂子編著(ほか22名執筆)
    • 総ページ数
      365
    • 出版者
      日本評論社
  • [図書] 欧州私法の新たなる潮流Ⅱ2018

    • 著者名/発表者名
      馬場圭太、カライスコス・アントニオスほか3名
    • 総ページ数
      116
    • 出版者
      関西大学法学研究所
  • [図書] Produzentenhaftung2017

    • 著者名/発表者名
      H.Kullmann, B.Pfister,K.Stoehr, G.Spindler編/若林三奈ほか22名執筆
    • 総ページ数
      5350
    • 出版者
      Erich Schmidt Verlag

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公開日: 2018-12-17  

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