研究課題
基盤研究(B)
本研究は、現代アメリカ合衆国の外交政策の形成過程や対外行動のありかたを理解するために、その依拠するさまざまな「視座」がどのように誕生し、どのように培われてきたかを研究するものである。とりわけ、政策決定者・指導者層の持つアメリカ合衆国に対する「自画像」のもととなってきた歴史認識や、第二次世界大戦後の合衆国と諸地域・諸機関(アジア、中東、国際連合など)との関係の中で形成されてきた対外行動のパターンなどを分析することによって、現代アメリカ外交の行動原理の理解を深めることを目的とした。
アメリカ政治外交史
近年、アメリカ外交史・外交論の分野では、グローバル・ヒストリーの興隆や、ディシプリンを超えた視点から様々な事象を解釈しようとするアプローチの活発化も手伝って、豊かな研究成果が生まれている。しかし、アメリカ外交の「現在」を見据えながらその思想的・イデオロギー的状況を分析する際に、これらの成果が十分に活かされているとは言い難い。本プロジェクトは、アメリカ外交の「視座」がいかに形成されてきたかを、歴史、国際政治学、国際法学や政治哲学などの多様なディシプリンを用いながら、長期的視点からときおこし、その作業を通じてアメリカ外交や外交論争の「現在」についてより深く探究したところに意義がある。