研究課題/領域番号 |
16H03579
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
牧原 出 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00238891)
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研究分担者 |
御厨 貴 東京大学, 先端科学技術研究センター, 客員教授 (00092338)
伊藤 正次 首都大学東京, 社会科学研究科, 教授 (40347258)
砂原 庸介 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40549680)
秋吉 貴雄 中央大学, 法学部, 教授 (50332862)
魚住 弘久 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 教授 (60305894)
手塚 洋輔 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (60376671)
竹中 治堅 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (70313484)
小宮 京 青山学院大学, 文学部, 准教授 (80451764)
飯尾 潤 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (90241926)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 木戸幸一 / オーラル・ヒストリー / 通商産業省 / 商工省 / 経済産業省 / APEC |
研究実績の概要 |
オーラル・ヒストリーの実施としては、継続して通産官僚へのオーラル・ヒストリー・プロジェクトを行った。1990年代の日米構造協議の通商政策を経て、通産省・経産省はWTO、APEC、四極会議などのマルチの会議体に働きかけたことが明らかとなった。これと並行して地球温暖化政策が京都議定書の批准からパリ協定までどのように進展したかを整理し、そこにAPECアプローチの影響が見られることも判明した。さらに省庁再編の際に、通産省から経産省へと組織変更が行われた結果、通商政策ではルールメーキングに重点を置く改革が図られた反面、現在となっては必ずしも適合的ではないその時代特有の問題意識が反映したことも明らかになりつつある。 『木戸幸一日記』については、関東大震災の混乱後に設置された商工省について、官房会計課長に木戸が就任することで、省務の中枢を担う過程の分析を進めつつある。従来の事業部局とは異なる業務の中で、木戸が徐々に省組織全体を見渡しつつ意思決定に携わるようになってきたことの意義について理解を深めた。また、オーラル・ヒストリー方法論についてはシンポジウムにおいて、話したものそのままの原稿と、編集の手を加えた原稿とを比較対照し、話し言葉と書き言葉の特性について言語の質が異なることを共有し、編集された後の記録をどう解釈するかについての方法をさらに検討することとなった。また過去のオーラル・ヒストリーのレビューを実施することで、20年前の記録作成と電子化が相当程度進行した現在の記録作成との差異を認識しつつ、1990年代の政治家の行動様式について再検討し、今後繰り返しビューとともに深めていく必要があることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オーラル・ヒストリー・プロジェクトが継続的に実施されるとともに、『木戸幸一日記』の分析も順調に作業が進み、関東大震災後商工省が設置され、官房を中心に省組織が構築されている過程を把握することができた。また通産省から経産省に省組織が変更される過程もオーラル・ヒストリーによって、部内からの観察を得ることができた。オーラル・ヒストリー方法論についても、メンバー間での理解が深まり、今後の可能性について展望を開きつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
オーラル・ヒストリー・プロジェクトの継続と総括に入るとともに、『木戸幸一日記』の講読も進める。並行して、通産省設置から1980年代までの展開について再検討作業を進め、商工省から経産省までの展開を全体として再検討する。またオーラル・ヒストリー方法論についても、シンポジウムの開催を継続し、現段階での展望を論文にまとめる予定である。
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