研究課題/領域番号 |
16H03607
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
若林 緑 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (60364022)
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研究分担者 |
暮石 渉 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 第3室長 (00509341)
McKenzie Colin 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (10220980)
梶谷 真也 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (60510807)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 介護 / 子ども・乳幼児期の貧困 / 貯蓄 / コミットメント / 認知・非認知能力 / 労働時間 |
研究実績の概要 |
本年度は、若林氏(東北大学)は、家族介護者の介護負担感が、介護の種類によって変わるのかを認知症介護と身体介護を比較して分析を行った(東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター陳鳳明助教との共著)。その結果、認知症介護は、身体介護と比較して、主介護者により大きな介護負担感を与えていることがわかった。 また、若林氏と暮石氏(国立社会保障・人口問題研究所)は、前年に引き続き、乳幼児のいる世帯の貧困に関して、厚生労働省「21世紀出生児縦断調査(平成22年出生児)」を用いて分析を行い、「少子高齢社会における世代間移転と家族」法政大学比較経済研究所/濱秋編に掲載された。また、準双曲的な割引を行う既婚者における貯蓄のコミットメントデバイスについての論文が、The Singapore Economic Review に掲載された。 梶谷氏(京都産業大学)は、子どもにとって父親(母親)は母親(父親)の代替的存在なのか補完的存在なのかという視点から、子どもが親と一緒に過ごす時間の差異と子どもの認知・非認知能力との関係について、"The Longitudinal Study of Australian Children (LASC)" のマイクロデータを用いて確認を行った。 マッケンジー氏(慶応義塾大学)は、2019年度は、労働時間が健康にどのような影響を与えるかを Household, Income and Labour Dynamics in Australia (HILDA) のオーストラリアのマイクロパネルデータを用いて再確認を行った。中高年の男性について労働時間と 健康との関係が非線形(逆U型)となるという頑健な結果が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・若林氏は、家族介護者の介護負担感についての共著論文を執筆し、和文査読誌に掲載した。加えて、若林氏と暮石氏は,子供の貧困に関して、乳幼児期に焦点をあて分析し、法政大学比較経済研究所/濱秋編「少子高齢社会における世代間移転と家族」の1章として発表した。また、これまで行ってきた、若林氏と暮石氏による、夫婦間の貯蓄のコミットメントについての論文が、英文査読誌に掲載された。 ・梶谷氏は、"The Longitudinal Study of Australian Children (LASC)" のデータセットの確認作業に時間を要したため、LASCを使った分析では進捗状況に遅れが生じている. ・マッケンジー氏による、労働時間が健康へどのような影響を与えるかについてのオーストラリアのマイクロパネルデータを用いた再確認は、中高年の男性について労働時間と健康との関係が非線形となったことが確認されるなど、中高年の男性の分析は順調に進んでいる。 以上により、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
・若林氏(東北大学)と暮石氏(国立社会保障・人口問題研究所)は,時間割引や危険回避などの経済選好について、慶應パネル(Keio Household Panel Survey)および阪大パネル(Preference Parameters Study)を用いた研究を、フランクフルトゲーテ大学のHitoshi Tsujiyama准教授や同大学のHannah Paule-Paludkiewicz氏と開始しており、引き続き研究を進める。 ・梶谷氏(京都産業大学)は、LASCのデータセットの確認作業が終わり次第、Household, Income and Labour Dynamics in Australia (HILDA) Survey のデータセットを用いて、中高年者の労働時間が健康や認知能力に与える影響について労働経済学的観点から分析を進 める。 ・マッケンジー氏(慶應義塾大学)は、引き続きHILDA Surveyのデータセットを用いて、中高年女性の労働時間が健康や認知能力に与える影響について計量経済学的手法の開発という観点から分析を進める。
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