研究課題/領域番号 |
16H03610
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
岡本 亮介 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (60323945)
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研究分担者 |
長谷川 誠 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (50722542)
細江 宣裕 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (60313483)
吉田 雄一朗 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (70339919)
城所 幸弘 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (90283811)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 交通ネットワーク / 一般均衡分析 / 地域経済学 |
研究実績の概要 |
プロジェクトの1年目の活動として、おもに、交通・情報ネットワークに関するマクロ・ミクロのデータを収集しつつ、関連する先行文献を調査した。また、最新の研究動向を把握するために、日本経済学会・応用経済学会等の学会に出席するとともに、研究会を6回開催して12の研究が政策研究大学院大学において報告された。さらに異分野間の研究交流を図るために、コンファレンスを開催し、そこでは6つの研究報告がなされた。 個別の研究活動については、3編の原著論文を刊行し、1つの学会報告を行った。そのうちの1編では、京阪神圏の鉄道ネットワークについて、都市構造との相互作用を考慮しながら議論した。すなわち、京阪神圏は利便性の観点では東京圏に比べて劣っており、改善方法とその際の便益の計測法について議論した。またもう1編では、交通の部分均衡分析と一般均衡分析を比較するために、航空市場を例にとってモデル化した。世界の航空市場では、他の交通と異なり、空港における高収益の兼業(レンタカー、免税店等)が注目されている。しかし、これまでの研究では、兼業は非常に恣意的な形でモデル化されていた。本年度の研究では、自然な形で一般均衡的に兼業をモデル化し、これまでの部分均衡分析がなしえなかった、空港に対する総合的な分析を行った。また、交通需要予測で用いられるロジットモデル等の離散選択モデルが一般均衡上どのような意味を持つかを研究するために、離散選択モデルの理論的基礎を整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた程度に、基礎的なデータ収集や、関連文献の調査、および、コンファレンス・研究会等を開催することで必要な情報交換が実現できたため。
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今後の研究の推進方策 |
個別テーマについて分析するフレームワーク構築を推進する。最初の段階では、それぞれのテーマの内部で完結する分析を行うが、完成次第、いくつかのテーマ、あるいは、そのテーマにおいて重要な(とくに規模の経済性や外部性に関連する)要因同士で、相互にスピルオーバーするものを抜き出し、複合的な分析を行うことができるよう、個別のフレームワークを拡張することを目指す。 平成28年度と同様に定例の研究会を開催し、より広く研究成果を公開することに努める。 たとえば、産業立地を分析するモデルと居住地選択を分析するモデルがあるとき、個別の分析においては、通常は他方を外生とするであろう。しかし、これらは現実には同時決定されるものであり、また、したがって、居住地と企業の立地点(=勤務地)間の通勤行動も内生的に決まるはずである。さらには、通勤パタンの変化は、交通(通勤)混雑という別の問題にまで波及する。交通といっても、都市内部の交通もあれば、都市間の交通もあるから、その影響は様々である。 情報インフラの整備が格段に進んだ最近では、ネットを通じた在宅勤務が実用的になりつつある。その場合には、混雑は交通混雑というリアル世界の混雑ではなく、インターネット上のバーチャル空間の混雑を引き起こすであろう。情報インフラ整備の際には、量的に拡充するだけでなく、業務を滞りなく実現できる頑健性や冗長性も持たせる必要がある。こうした観点を取り入れつつ、基礎的なモデルを、より現実的なモデルにしていくように研究活動を推進していく。
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