研究課題/領域番号 |
16H03617
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
馬 岩 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (10403221)
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研究分担者 |
古澤 泰治 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (80272095)
柳瀬 明彦 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (10322992)
蓬田 守弘 上智大学, 経済学部, 教授 (30286611)
朱 連明 大阪大学, 社会経済研究所, 講師 (60770691)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | グローバルサプライチェーン / 環境政策 |
研究実績の概要 |
(1) グローバルサプライチェーンの理論と実証研究:グローバル・バリュー・チェーンの形態に大きな影響を与える多国籍企業の立地選択を、企業の移転価格戦略に焦点を絞って分析し、大国は、自国企業が移転価格の操作によって節税するのを許すことにより社会厚生を増大させる可能性があることを理論的に解明した。研究成果の一部として、グローバリゼーションが所得分配に与える影響を考察した論文が査読付国際専門誌に公刊されることになった。また、人的資本の分布がグローバルサプライチェーンの形成に与える影響に関する論文を有名な査読付国際専門誌に投稿している。 (2) 生産プロセスの分割の環境への影響に関する研究:越境汚染が存在する下でのパレート最適な国際課税ルールに関する理論分析の結果が、査読付き国際学術誌に論文として掲載された。また、大学院向けの国際貿易論のテキストで(出版済み)、その中の環境と貿易に関する章を執筆した。さらに、環境汚染の排出と天然資源の過剰利用の両方を考慮に入れた国際貿易の理論分析について、査読付き国際学術誌に投稿している。環境政策のグローバルサプライチェーンへの影響と地球環境に与える影響に関する理論分析では、国境炭素調整措置が海外直接投資とそれに伴う環境技術の国際移転に及ぼす影響について、理論分析を行い、研究成果をまとめている。 上記の(1)と(2)に関する研究成果の一部を国内外の学会で報告した。また、2018年12月に神戸大学で開催された貿易と直接対外投資に関するワークショップにおいて、同成果の一部を報告し、当該分野の専門家であるPao-Li Chang准教授とMostafa Beshkar准教授と意見交換を行って分析の改善を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度、多くの学術論文が査読付国際専門誌に論文が掲載されている。また、多くの学術論文を作成し、その一部を国内外の学会での報告を経て査読付国際専門誌に投稿し、審査を受けているため、当初の研究計画が概ねに順調に進んでいると考えられる。さらに、プロジェクトの研究テーマに関する研究者の招聘や共同論文の作成、研究集会・研究助言等を通じて、国内外の協力者との研究ネットワークの構築も順調に進展している。以上より、プロジェクト全体としては、今年度終了時点において当初の研究計画が概ねに進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に、各研究課題についてそれぞれの担当グループが分析を進めていくが、意見交換も頻繁に行う。具体的には、年1,2回ほど研究打ち合わせを兼ねた研究集会を開く。本年度に、当該分野の著名な研究者数名を海外から招いて国際研究集会を開催し、関連テーマの研究動向に関する最新情報を収集するとともに、本研究の途中経過に対する助言を求め、その後の研究内容の向上に資するよう意見交換を実施する。具体的には、次の計画に従い、研究を進めていく。 1)グローバルサプライチェーンの理論と実証研究:生産工程の細分化に伴うサプライ・チェーンの形成とその時間的変化を理論的、実証的に検証する。昨年度からの継続として、グローバリゼーションが上流企業と下流企業のマッチング環境の変化を通じて国際貿易や各国の社会厚生に与える影響を引き続き理論的に検証するとともに、グローバルな部品調達が国内サプライ・チェーンに与える影響を理論・実証的に分析していく。 2)生産プロセスの分割の環境影響に関する研究:(1)環境汚染の排出と天然資源の過剰利用の両方を考慮に入れた国際貿易の理論分析、及び生産と消費の両方から環境汚染が発生する開放経済の動学モデル分析について、それぞれ論文を作成し、査読付き国際学術誌への掲載を目指す。(2)国境炭素調整措置が海外直接投資とそれに伴う環境技術の国際移転に及ぼす影響についての研究成果を査読付き国際学術誌へ投稿する。また、国際貿易の一般均衡モデルを用いて温暖化ガス排出枠の国際取引が産業構造や経済厚生へ及ぼす影響を分析する。(3)消費からの外部不経済を政府による製品への品質規制を通じてコントロールする状況における自由貿易協定の効果について、論文を修正し、査読付き国際学術誌に投稿し掲載を目指す。
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