研究課題/領域番号 |
16H03624
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
井尻 直彦 日本大学, 経済学部, 教授 (50320990)
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研究分担者 |
前野 高章 敬愛大学, 経済学部, 講師 (00590605)
齋藤 哲哉 日本大学, 経済学部, 准教授 (80707422)
中村 靖彦 日本大学, 経済学部, 准教授 (90453977)
羽田 翔 東京福祉大学, 社会福祉学部, 助教 (90762063)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 非関税障壁 / 規格 / 特許 / EPA / グラビティモデル |
研究実績の概要 |
1、本年度の研究実績 平成29年度は主に以下の3点が研究実績としてあげられる。(1) 日本-EU間における規格の調整と貿易に関する実証分析。昨年度の分析により、国内規格と国際規格が同等のものとなることで貿易が促進されることが明らかとなっていた。実証分析の結果の頑健性を確認することで、分析結果をさらに明確なものとした。(2) 国際的商標登録と制度的なコストとの関係性。非関税障壁の一つとして、国際的商標登録に関係する「マドリッドプロトコル」の影響を実証分析により確認した。国際的商標登録は現地マーケットへの最終財の進出を意味しており、制度的なコストは非関税障壁となり得る。実証分析により、「マドリッドプロトコル」は申請費用を削減させ、国際的商標登録数を増加させたことを明らかにした。(3) 中古品(ヴィンテージ財)特定方法の修正。中古品(ヴィンテージ財)特定方法の修正を行った。OECDとの協議の結果、より多くの国のHSコードを反映させられるよう、新たな特定方法を開発した。 2、本年度の計画 平成30年度は以下の3点を中心に研究を進める。(1) 研究成果の報告および論文投稿。現在完了している研究テーマに関しては、研究報告および論文投稿により成果を公表する(日本規格およびEU規格の国際規格との同等性と非関税障壁:日本-EUモデル)。(2) 財属性(代替弾力性)の違いと国際貿易フロー:世界モデル。本研究で作成した貿易の代替弾力性の違いを考慮した新たな貿易財の分類に基づいた分析結果を先行研究の分析結果と比較する。さらに、Feenstra (1994), Broda and Weinstein (2006)の推計方法を参考に、新たに作成した財分類別に代替の弾力性を推計し、先行研究と比較する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由) 平成29年度おける4つの計画のうち、3つの計画に関してはほぼ作業が完了しているため「(2)おおむね順調に進展している」を選択した。まず、平成29年度の研究計画であった(1)計量分析データセット(パネル)の作成、(2)日本規格およびEU規格の国際規格との同等性と非関税障壁:日本-EUモデル、の2つに関しては既に作業が完了している。次に、(3)国際特許取得が輸入フローに与える影響:D財からDP財へ、S財からSP財への変化、であるが、概ね分析および論文執筆が完了している。最後の研究計画であった(4)可変的代替弾力性型関数を使用した推計可能なグラビティモデルの精緻化、であるが、分析モデルとしてはまだ使用できる段階ではないが、基本的なモデルは完成しているため平成30年度の早い段階で研究・分析に導入できると考える。 以上の理由から「(2)おおむね順調に進展している」を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては以下の3点があげられる。 まず1点目に、理論モデルの構築を早急に行う。上記の実証分析を行うためにも分析のフレームワークである理論モデルを導入する必要があり、この作業が急務となっている。そのため、理論分析に特化した研究会を開催する予定である。 2点目に、知的財産権保護の度合いと特許財の関係性についての論文を公表する。 3点目に、全ての研究結果を論文、学会およびホームページで公開する。特に今年度は論文による研究結果の公開を重点的に行う予定であり、論文形式で研究業績を蓄積することを中心に研究活動を行う。
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