研究課題/領域番号 |
16H03645
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高槻 泰郎 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (70583798)
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研究分担者 |
宮本 又郎 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50030672)
結城 武延 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (80613679)
小林 延人 秀明大学, 学校教師学部, 准教授 (80723254)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 経済史 / 経営史 / 日本史 / 金融史 / 金融・ファイナンス |
研究実績の概要 |
平成29年度の作業計画として掲げていた課題は大きく3つである。第一に、史料撮影の継続である。必ずしも研究に直結しない史料は除くとしても、昨年度末の段階で2,000点近い未撮影史料があったため、研究員またはアルバイトを雇用して、史料撮影を進める計画を立て、今年度、計画通りこれを完遂した。すなわち、大型で撮影が困難な絵図などを除き、全ての史料・古写真の電子化を完了し、研究メンバーで共有することができた。これにより、将来の公開に向けた素材が用意できたことはもちろん、研究メンバーも資料保管先である神戸大学に来ることなく研究を遂行できるようになった。 第二の課題は、廣岡家に関する新出史料について、その概容と学術的価値を紹介する史料解題の執筆であった。今回新たに発見された「廣岡家文書」、ならびに分家の「廣岡五兵衛家文書」の概要や、廣岡家の系図、簡単な経営史分析をまとめた解説論文を、平成29年度内に『三井文庫論叢』へ寄稿することを計画していたが、これも計画通り達成できた。すなわち、他の豪商に比べ、研究が圧倒的に遅れていた廣岡家について、新史料の発見によって得られる今後の研究展望を、三井文庫研究会にて報告し(2018年10月29日)、その成果を『三井文庫論叢』に史料紹介として公刊することができた。 第三の課題は、個別研究を伸展させることであったが、上記史料紹介に、個別研究の成果が含まれているため、これも達成できたと言える。また研究代表者以下、活発に研究報告を行い、最終年度の研究成果取りまとめに向けた準備ができていると評価できる。 この他、研究代表者、研究分担者の個別研究が一定程度進んだため、2018年5月開催予定の社会経済史学会全国大会にてパネルディスカッションを組むことを申請し、採用された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年度目(平成29年度)は、新発見の「廣岡家文書」の目録作成と撮影を適宜進めつつ、研究分担者、連携研究者によって史料の分析を行うということを計画として掲げていたが、その進捗は良好であった。 その根拠として、第一に、目録作成は昨年度末までに完遂し、残っていた史料撮影も、大型で撮影が困難な絵図資料などを除き、今年度で完了したことが挙げられる。 第二に、研究分担者・連携研究者が史料分析を進めた結果、「廣岡家文書」をはじめとして、廣岡家および大同生命に関する史料群全体の把握ができたことから、その成果を三井文庫研究会(2017年10月29日開催)において公表し、その内容を『三井文庫論叢』にて史料紹介として公開することができた。これは昨年度の実績報告時に計画した通りの進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度(最終年度)は、これまでの成果を踏まえつつ、研究代表者以下が、個々に研究を進めていくことになる。 具体的な計画としては、(1)2018年5月に開催される社会経済史学会第87回全国大会にてパネルディスカッションを組織し、当科研プロジェクトの成果報告を行うこと(研究代表者の高槻泰郎、研究分担者の小林延人、結城武延が報告することが内定している)、(2)(1)の成果を論文にまとめ学術雑誌に投稿すること、(3)連携研究者・研究協力者も交えた研究成果報告会を年度内に1回は開催すること、の3点である。 平成30年度中の刊行は難しいが、来年度以降、この成果を広く一般の人々にも訴求すべく、書籍として研究成果をまとめる予定であり、出版社との交渉を始めている。
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