研究課題/領域番号 |
16H03653
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
米倉 誠一郎 一橋大学, 大学院商学研究科, 特任教授 (00158528)
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研究分担者 |
平尾 毅 京都橘大学, 現代ビジネス学部, 教授 (50361861)
野間 幹晴 一橋大学, 大学院国際企業戦略研究科, 准教授 (80347286)
清水 洋 一橋大学, 大学院商学研究科, 教授 (90530080)
星野 雄介 武蔵野大学, 経済学部, 准教授 (90635682)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アントレプレナーシップ / イノベーション / 国際比較 |
研究実績の概要 |
本研究は、アントレプレナーシップについての実証的な分析を行うものである。これまでのアントレプレナーシップについての研究では、企業家の個人的な心構えや精神論を記述した伝記的なものが蓄積されてきた。しかし、そのような心構えや精神論だけでは、長期的なパフォーマンスの推移についての説明が難しい。あるいは、スタートアップ(日本の場合には中小企業)が中心的な分析対象であった。しかし、アントレプレナーシップが重要になるのは、スタートアップ、あるいは中小企業だけではない。既存企業の新規事業などでも同様にアントレプレナーシップは重要になるであろう。そのため、本研究では企業の設立からの年数と新規参入、そしてROA(総資本利益率)のボラティリティに注目し、1900年代から2010年までの新興市場を含めた上場企業について実証的に長期の時系列・国際比較分析を行う。また、量的な実証研究だけでなく、そこで見られた一般的な傾向から逸脱する事例について質的なケース分析を行う。これによって、伝記的な記述が蓄積されてきたこれまでのアントレプレナーシップ研究に対して、企業レベルの統計的な規則性とそこからの逸脱のパターンを明らかにすることで、より一般性の高い議論を進めることを本研究は目的としている。 平成29年度は日本とアメリカの長期的なパフォーマンスを分析するために、データを収集してきた。具体的には、上場企業の財務データと特許のデータを収集した。また、アメリカ企業については、財務データが連結になっている一方で、特許のデータは個別になっているために、その調整が必要であった。そのため、平成29年度は、この連結と個別のデータの調整と特許と財務データの統一を中心に行ってきた。連結と個別のデータベースは12月にはほぼ完成し、分析を開始した。分析の中間的な成果を平成30年度に国際学会で発表することが受理されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特許、個票、財務などのデータベースの整理は順調に進んでいる。それらの分析が既に始まっており、中間的な結果も出つつある。平成30年度にはそれらの結果を国際学会で発表するための準備も進み、発表を行うことも決定している。概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度はこれまで構築してきた日本とアメリカの長期的なパフォーマンスを分析するためのデータの分析を進めていく。具体的には、大きく以下の3つの方向で研究を進めていく。 ①日米企業の長期的な収益性と企業の年齢の間の関係についての実証分析:この分析は日米企業の収益性と年齢の関係を、事業や研究開発の硬直性に注目し、実証的に分析していく。分析を進めた上で、国際学会での発表を行い、論文として投稿していく。 ②日本企業のガバナンスとイノベーションについての実証分析:この分析は、日本企業のガバナンスの変化がどのようにイノベーションに対する意思決定に影響するのかを、退職給付に係る負債や株主の状況に焦点を当てて分析していく。平成30年度中に論文として投稿する計画である。 ③アントレプレナーシップに対する質的な分析:実証分析において、平均的なトレンドから外れる例外的な企業を特定した上で、そのケースの分析を進めていく。平成30年7月に予定されている国際学会において分析の中間的な成果を発表する計画である。そこでのフィードバックを得た上で、論文として投稿していく計画である。
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