研究課題/領域番号 |
16H03666
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
馬場 一 関西大学, 商学部, 准教授 (70351492)
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研究分担者 |
大木 清弘 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 講師 (20611073)
金 熙珍 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (40634530)
臼井 哲也 日本大学, 法学部, 教授 (60409422)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 国際生産 / 国際マーケティング / 国際R&D / 新興市場 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、生産とマーケティングの調整を中心に、理論的考察と事例収集が行われた。前者に関しては平成28年10月に多国籍企業学会西部部会において「多国籍企業組織における部門間調整・連携の阻害要因分析」というタイトルで報告が行われた。特に、トヨタ社の歴史的な国際化の経路の中で部門間連携がどのように行われてきたかを手がかりに、理論的基礎に関する検討が行われた。 また、後者に関しては、平成29年3月にベトナムおよびタイにおける現地調査が行われた。具体的には、日系の文具メーカー、パーツメーカー、ITシステム企業、アグリビジネス企業を対象に聞き取り調査を行った。これらの企業を観察することを通じて、生産機能とマーケティング機能が地理的に近接することの重要性が明らかとなった。この地理的近接性を通じた、緊密かつ頻繁なコミュニケーションが、現地における連携を通じたパフォーマンスの向上につながる可能性がある。 現地調査では日系および現地資本の小売企業での聞き取り調査も行われた。ハノイにおける日系ショッピングモールでは、日本を上回る現地でのオペレーションが観察された。また、現地家電量販店では、日系メーカーの陳列・販売促進状況を、韓国系メーカとの比較を通じて、検討した。 まとめると、平成28年度は、歴史的資料や事例の分析から得られた事実に基づいて、帰納的に理論構築を行った。特に、部門間連携の阻害要因を明らかにし、その解決を生産とマーケティングの地理的近接性に求められるのではないか、というのがこれまでのところの検討結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の研究は生産とマーケティングの部門間連携に関して、理論的検討と事例収集が行われた。理論的な検討に関しては、当初の目標をほぼ達成している。具体的には部門間連携の阻害要因の発見・除去、そして、生産とマーケティングの地理的近接性を通じた阻害要因の解消という視角を得ることができた。しかし、事例収集に関しては、さらなるR&Dに関する事例の収集が、平成29年度以降の課題として残っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は以下の3点に関して重点的に研究を推進していく。第一に、事例のさらなる収集である。夏期および春期には新興市場における事例を収集する。特に、R&Dに関する事例の収集はこれまでの理論的検討をよりロバストなものにする上で重要である。 第二に、学会における情報発信である。アカデミック・コミュニティーからの批判や提案を通じてわれわれのフレームワークをより堅固なものとすることが学会報告の目的である。現時点では、平成29年6月には馬場、臼井、金3名がAsia Academy of Managementにおけるパネルで報告することが決定している。その他にも、関連学会における報告が予定されている。 第三に、論文の執筆である。2年間の成果を論文としてまとめ、成果を広く社会に問う。まずは、『国際ビジネス研究』や『多国籍企業研究』といった国内雑誌への投稿を行う。
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