研究課題/領域番号 |
16H03680
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
梶原 武久 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 教授 (30292080)
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研究分担者 |
小沢 浩 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (40303581)
窪田 祐一 南山大学, ビジネス研究科, 教授 (40329595)
清水 信匡 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 教授 (90216094)
丸田 起大 九州大学, 経済学研究院, 教授 (70325588)
篠田 朝也 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (50378428)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 原価企画 / 原価作りこみエラー / 目標原価 / 原価変動リスク / 実験室実験 / 部品共有化 |
研究実績の概要 |
第1に、自動車完成品メーカー2社を対象に、原価企画における原価作りこみエラーの発生原因とその解決方法について、フィールドスタディを継続的に実施した。特定の製品開発プロジェクトを対象として実施されることが多い原価企画であるが、一方の企業では、複数の製品群を対象として原価企画活動が実施されており、そのことが個別プロジェクトレベルにおける原価作りこみエラーに対する緩和の方策となっていることが判明した。第2に、日本の製造企業から収集したサーベイデータを用いて、原価企画と開発成果の関係について分析を行った。本研究は、原価企画と開発成果の間の関係性に対して、補完資産としてトップの支援、人材の多機能化、情報の共有化が重要な影響を及ぼすことを明らかにしており、改めて原価企画の実践における組織的なインフラの重要性が示唆された。第3に、原価企画に関するレゴブロックを用いた実験室実験を計画し、プリテストを実施した。プリテストの結果、目標原価の水準、レゴブロックの再設計の際の許容範囲の設定、インセンティブの設定が実験計画上の重要な課題であることが判明した。第4に、公表財務諸表データを用いたコスト・マネジメント研究を実施し、財務上のリスクが経営者によるコスト・マネジメント活動の機会を制約することを明らかにした。またこの研究では、メインバンクから借り入れを行うことが、財務上のリスクの高まりによる経営者のコスト・マネジメントの制約を緩和することを明らかにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去2年間における研究活動はおおむね順調に進展している。平成29年度、レゴブロックを用いた実験室実験を実行する予定であったが、実験計画の時間を要したため、現時点では、プリテストを実施した段階にとどまっているが、本年度、プリテストを踏まえた本実験を実施することがで、弱冠の遅れを取り戻すことができると考えられる。他方、原価企画に関するフィールドスタディは極めて順調に進められており、総合的に、(2)おおむね順調に進展している。」の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後次のように本研究を推進していく。第1に、製品群を対象とした原価企画活動を概念化、理論化することを試みる。第2に、原価企画に伴う原価作りこみエラーについて比較事例分析を行う。自動車メーカーのほかに、電気機器、精密機器、機械産業に属するメーカーを比較対象として、どのような原価要素について、原価作りこみエラーがどれだけ生じているのか、それがどのような原因によって生じているのか、また、原価作りこみエラーを緩和するためにどのような方策が用いられているのかについて、事例間の比較を行う。第3に、レゴブロックを用いた原価企画実験を実施する。平成29年度実施したプレテストをふまえ、目標原価の水準と目標原価の設定方法(控除法vs.既存モデルベースの目標設定)が、原価低減額に及ぼす影響を観察する。
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